サクラナイツは他のMリーグチームと比べても、公式YouTubeチャンネルでのバラエティに富んだ企画やイベント、オンラインサロンでの発信など多様な取り組みをしている。これはなぜなのか。
「Mリーグのプロスポーツとして特殊な点のひとつに、地域性がないということがあります。野球やサッカーといったプロスポーツだとホームタウンというものがありますが、麻雀にはない。特に今はコロナ禍でリアルイベントもなかなかできませんし。でもスポーツはファンの人生に寄り添う存在だと思うので、動画やオンラインサロンを通じて、リアル以外でも沢山ファンとつながっていられるようにしたいと思って始めました。麻雀に興味がない方も入ってきてほしいと思い、他のYouTubeチャンネルとコラボしたり、選手の魅力が伝わるように色々な企画をしています」(森井監督)
森井監督はYouTubeへの出演やSNS投稿をはじめとして露出が多く、Mリーグ8チーム内でも「最も前に出る監督」と言われている。元々サラリーマンである彼が積極的に表に出ていくのは「自分自身をコンテンツ化したい」という狙いだった。
「そもそもチームの人数が4人と少ない中で、選手にはシーズン中は可能な限り試合に集中してもらいたいので、自分が代わりに活動できたらと思いました。それに、もしかしたら僕を面白いと思ってサクラナイツファンになってくれる人もいるかもしれない。昔は編集者って前に出ないものだったけど、今は誰でも発信できる時代だからこそ、裏方である自分もコンテンツ化した方が喜んでもらえるのではないか、と自分自身で実験をしている感覚です。また、サクラナイツは2期目に創設された後発チームなので、差別化のために他のチームはやってないことをやって魅力を出したかった。実際僕が表に出ていることで、登板する選手のオーダーを事前発表すると『森井采配』として面白がってもらえたこともあります。まあ、堀さんには自分が目立ちたいだけでしょって言われるんですけどね(笑)」
こういった運営の工夫について「楽しんでいます。リーグの戦局がヒートアップしそうなタイミングでバラエティ的な企画を入れたりと、ユーザーを飽きさせない工夫がありますよね」(内川)「また森井さんがろくでもない企画持ってきた、って言ってます。ファンの方が喜んでくれるならやりますが」(堀)と、メンバーも積極的に取り組んでいる様子だ。
MリーグはABEMAで全試合が無料放送されていることもあり、「見る専」の麻雀ファン増加にも一役買っているといわれる。サクラナイツの選手たちもその実感は大きい。
「麻雀講師を10数年やっていますが、Mリーグが始まってから明らかに受講者の年齢層が下がりました。中高年だけでなく、20~30代が増えた。また男女比率も半々くらいになっています。他にも、最近東海オンエアの虫眼鏡さんと初心者向けの本を出して、完全初心者向けのイベントを開催したら、定員に対して3倍近い申し込みがあって、さらに出版記念イベントでは麻雀を全く打ったことがない人も来てくれた。新しいファン層の広がりを感じます」(内川)
「麻雀店のイベントにゲストで出演すると、『初めて麻雀店に来ました』というお客さんがよくいるんですよ。Mリーグを見るところから始めて、勇気を出して実際に来てくれたんだなと思います」(堀)
Mリーグ最年少選手である岡田に、麻雀を知らない若年層への発信で心がけていることを聞いた。
「麻雀は難しいんじゃないかと思われがちなので、できるだけ難しい話をせずに、とっつきやすい言葉で発信することですね。試合後のインタビューでも、なるべく気持ちについて話すようにしています」(岡田)
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