生田斗真「友達同士でやっているとは、思われたくなかった」高校時代からの親友・尾上松也との共演を振り返る

2022/06/16 08:30 配信

芸能一般 インタビュー

Netflixドキュメンタリー『生田斗真 挑む』2022年6月16日(木)全世界独占配信

演技の道へ進む決意した高校卒業間際


ーードキュメンタリーの中で、高校生の頃、周りが売れていくのを見て、初めて仕事だと認識したとおっしゃっていたことが印象的でした。それまでは、お仕事として捉えていなかったんですね。

この仕事を始めたのも、親の推薦がきっかけで、自分で選んだ道ではなかったので。ただオーディションに行って、なんとなく楽しくて、なんとなく受かって、なんとなく日々が楽しかったから、仕事の意識なんて全くなかったんですよね。将来のことも考えたことなかったから、高校を卒業するタイミングで「大学行くの?」「この仕事続けるの?」「辞めて、就職するの?」と選択肢を目の前にした時に、仕事としてちゃんとやろうと思ったんです。

ーー芸能界と一括りにしても、いろいろな選択肢がある中で演劇を選んだのはなぜだったのでしょう?

漠然と自分の周りにいる演劇人たちが、かっこよく見えたんですよね。正直、どうしようもない人もいたのですが、舞台の上に立って、芝居を構築して、見に来てくれたお客さんたちに「楽しかった、明日も頑張ろう」とパワーを与える姿を目の当たりにして「かっこいいな、この人たち」って憧れたんです。

ーーそこから演劇の道に進むにあたり、どのような行動をしたのでしょう?

まずは舞台の機会があったら「たくさんやらせてください」と事務所の方に伝えました。それから「舞台をやりたい」と言っても知らないことが多かったので、どういう劇団があって、どういう劇場があって、どういう役者さんたちがいて、何がおもしろいのか、自分に合うのは何かを探るべく、いろいろなお芝居を見に行きました。

キャリア20年超「目標を描いたことはない」生田のモチベーションは


ーー歌って、踊ってという伝統が受け継がれてきたジャニーズ事務所の中で、俳優1本の道を切り開いていった生田さん。前例がないことに悩んだことはないのでしょうか?

前例がないので、苦労したのは22歳ぐらいまででしたね。作品のエンドロールで、名前の後ろに“生田斗真(ジャニーズJr.)”って書いていて「もう22歳だぜ?」って(笑)。ただ、そこにも関連するのですが、自分の居場所がないなとは感じていました。

ーーそれはなぜでしょう?

ジャニーズの中にいても「役者さんだよね」と言われ、舞台の現場に行っても「ジャニーズの人だよね」って言われ「俺はどこの誰なんだろう」って思ってしまったんです。

ーーその時は、どのようにして乗り越えたのでしょうか?

ふとしたときに「これはもうめちゃくちゃポジティブに考えて、どこにもカテゴライズできない存在なんだ」と思うようにしました。そして「そのためには、もっとちゃんと確立しなきゃいけない」と考えて、技術的なこととか、芝居のことをより真剣に考えるようになりましたね。

ーーその当時や今、生田さんは俳優としてどうなることを目標にしているのでしょう?

最初は僕が最初にかっこいいなと思った演劇人のような、毎日笑って過ごしていて、一見しょうもないんだけど、でも人々を幸せにできるような大人になりたいなと思ったんですよね。「主演のドラマをやりたい!」だとか「賞を取りたい」と俳優としての目標を持ったことはなくて、ただただ目の前の仕事を全力でやってきました。

ーーなるほど。特に目標を立てないとのことですが、約20年間、演技の仕事を続けられているモチベーションはなぜだと思いますか?

俳優っておトクな職業なんですよ。免許持ってなくても医者になれるし、殺人犯になっても捕まらない……というのは冗談半分で(笑)。その瞬間「おもしろそう!」と思う選択肢を選び続けてきたら、今の自分と仲間に出会えたという感覚なんですよね。

実際、コロナ禍で緊急事態宣言になったとき、僕半年分くらいの仕事が全部飛んでしまったんです。ただ、その時にスタッフから「黒柳徹子さんとご一緒に舞台をやりませんか?」と連絡が来て、それもまた出会いだったなと。そのときのタイミングで、自分では描けなかった地図が勝手に出来ていく、それがモチベーションかなと思います。

取材・文/於ありさ

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