ミュージカル「バケモノの子」はこうやってできた!脚本・歌詞の高橋知伽江が語るミュージカルで描きたかったこと【連載:劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道#3】

2022/07/05 13:00 配信

芸能一般 連載

「映画の魅力は損なわず、舞台ならではの楽しさもある作品を目指しました」

蓮がバケモノたちからさまざまなことを教わる「修行」のシーン 撮影=大川晋児


――原作のアニメーション映画を最初に見た印象はいかがでしたか?

細田(守)監督の前作「おおかみこどもの雨と雪」が大好きだったので、「バケモノの子」も公開されてすぐに拝見しました。そのときはまだミュージカル化のことは念頭になかったのですが、とてもダイナミックで圧倒されたことを覚えています。

――ミュージカル化に際し、どんなことを意識しましたか?

まず、舞台ならではの魅力がないと、舞台化の意味がないだろうと思いました。でも、原作アニメが非常にしっかりした骨格の話なので、ミュージカルにはしやすかったですね。映画の魅力は損なわず、舞台ならではの楽しさもある作品を目指しました。

――この作品では、“父と子”の成長が描かれています。

バケモノの子」は、バケモノである熊徹と人間の蓮が、違いを受け入れて理解し合い、心が結びついていくという物語ですが、バケモノの世界には、熊徹だけでなく、たくさんの師匠がいます。少年の蓮がバケモノたちから掃除・洗濯・料理を教わる「修行」のシーンも、蓮を見守り育て、成長を喜ぶ人たちがたくさんいることを表現したナンバーです。自分と血が繋がっていなくても、子どもたちが夢を追って生きていきやすい社会を作っていくのが、大人たちのやらなければいけないことなのだと、この舞台を観て感じていただければありがたいです。