3年目の「FIAフォーミュラE選手権」は、メキシコ・メキシコシティでの第4戦を終了した。ルーカス・ディ・グラッシ(ABTシェフラーアウディスポーツ)が、15番スタートから1周目で追突され、リアウイング交換を余儀なくされたが早めの2台目への乗り換えが功を奏して今シーズン初優勝。
開幕から3連勝と圧倒的な強さを見せていた、ルノーe.ダムスのセバスチャン・ブエミはまさかの13位となった。
5月13日(土)からの第5戦の舞台となるのは、2シーズンぶりの開催となるモナコ・モンテカルロ。F1で使用している市街地コースを改良し、全長は約半分。スタート/フィニッシュラインは同じものを使用する。
また、第6戦はシーズン2から新たに加わったパリで行われる。パリ市中心に特設されるコースは、ナポレオンのひつぎが置かれている歴史的建造物の1つ、アンヴァリッド(旧軍病院)を周回するレイアウトで、最も景観の素晴らしいコースの1つと言われている。ピットレーンはマレシャル・ガリエニ通りに設置される。
メキシコシティ大会の結果を受けてブエミとディ・グラッシの総合優勝争いが5ポイント差に縮まり今後の展開がより面白くなってきた。
王者ブエミVSディ・グラッシの総合優勝争いの行方を占う大事な2週連続の開催。ますます盛り上がるフォーミュラE、第5戦モンテカルロ大会、第6戦パリ大会を前に、元F1レーサー・片山右京が見どころを語った。
――シーズン1のモナコでは初めてブエミがポールトゥウィン、ディ・グラッシが2位。
フォーミュラEで初めてポールトゥウィンを成し遂げたのがブエミ。その時の2位になったのもディ・グラッシ。
最近ちょっと存在感が出てないですけどピケを挟んではダンブロシオがいてバードがいて、それを見ればシーズン3になっても主役を張っている。市街地レースの代名詞といえるモナコでもたぶんこの争いは変わらずにますますチャンピオンシップのポイント争いは激しくなるんだなっていう気がします。
――さらに前回は7台がリタイアしたという「フォーミュラE」史上最多リタイアの記録も残るコースなんですよね。
通常の市街地サーキットとは違ってモナコはちょっと特別で、アモコバリアって呼ばれるガードレールとコンクリートブロックにガードレールが付いてるものが多く、サスペンションがちょっと当たってもF1用に出来ているウォールなんで、フォーミュラEのマシンはダメージを負う。
コースがフルコースではないのでサンデボーテを曲がったところでタイトに曲がってトンネルに向かって下って行くんで、そこがものすごいナローなんで、一昨年はアプトが壁に接触して後ろの車は行き場所がなくなって、そこに乗り上げたセナが空を飛んだりですね。
F1の時よりもレイアウト的には厳しくて逆にオーバーテイクが可能な形になってるのでの1コーナーもそうですし、他のラスカスに向かうブレーキングでもオーバーテイクがありましたから、今回のメキシコよりはブレーキングで飛び込むとか、ラインをクロスさせてとかストレートエンドでスリップから出てブレーキングで通常のオーバーテイクにっていうのはトンネルの前のヘアピン上で戻る時も可能です。
――右京さんの口から次々と名前の付いたコーナーの名前が出る歴史と伝統のモナコでのレースというのはモータースポーツファンにとっては本当に楽しみですよね。
伝統という意味で市街地サーキットの代名詞ですから、タバココーナーからビッシーヌからサンデボーテから全てが何度もいろいろなバトルがあった場所なので、そこで近代的な未来につながる今のフォーミュラEがまた新しいバトルを作っていく、伝統と未来とね。
その名前の付いたコーナーをそういうマシンが走るというのは他のカテゴリーにはない新鮮な一面ですよね。
――パリ大会の注目選手は?
地元フランス人選手ですね。ベルニュ、プロスト、サラザン、そして初参戦のトム・ディルマンですかね。それと、ブエミとディ・グラッシのタイトル争いにも注目したいです。
――モンテカルロ・パリの2週連続開催がシーズン3に与えるポイントは?
モンテカルロとパリの2連戦は、流れです。モンテカルロでクラッシュやトラブルに見舞われるとパリが翌週に行われるので精神的にドライバーは無理をしたりしてしまいます。モンテカルロからパリへうまく流れに乗ることができるかが大きなポイントになります。
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