――シリーズ11年目、第7シーズンを迎えた心境は?
第7シーズンでこれまでにない大きな展開を迎えるかというとそうではなくて、むしろ一作一作重ねてきたからこその“変わらなさ”が間違いなく存在しています。
でも一方では、これまで培ってきた“土台”がアップデートしていることを座組一同で実感しているところです。
例えば、新しく車を手に入れたとき、乗りはじめの段階では車と運転者の親和度はさほど深くありませんが、乗り続けていく事で運転者の練度は上がっていき、同乗者にとっても快適な時間になる…。
「遺留捜査」という“乗り物”は変わらずとも、キャスト、スタッフが一作ごとに作品の理解を深める事で、視聴者の皆さまに一層楽しんでいただける作品が届けられるなら何よりだと思います。
僕自身、「遺留捜査」は年々“深化”が重ねられていると感じていて、そういう意味では第7シーズンもまた、ひと味変わったと感じられるところがあるかもしれません。
――木曜ミステリーの集大成を担う作品でもありますが、どのような思いで撮影に臨まれていますか?
そうした大きな誉れを担うには、「遺留捜査」という作品は“埒外(らちがい)”にいるのではという思いもあります。事件に関わる人々の心情にまで踏み込んで描く「遺留捜査」は、刑事ドラマとしてもミステリー作品としてもある意味、スタンダードを逸脱したスタイルでお届けしてきましたから。
でも、歴々の作品が重ねてきた歴史に恥じない作品にしたいという思いは強く、そのために今できることはできる限り、注ぎ込みたいと考えて全力で努めています。
――糸村という役柄はご自身にとってどのような存在ですか?
独自のアイデンティティーを持っているといいますか、彼が携えているどこか不思議な雰囲気やつかみどころのない行動を含めて、他に類を見ないキャラクターだと思っています。
僕のキャリアの中で最も長く演じさせていただいている役でもあり、愛着も含めて他にはない距離を感じる人物です。
――ご自身にとって「遺留捜査」という作品はどのような存在ですか?
皆さんもご自身のワードローブの中に、「いつも着ていたい」と思うような着心地の良い一着があると思います。また、身に着ける物が立ち振る舞いに影響を与える事も共感して頂けるのではないでしょうか。
僕にとって、袖を通したとき心地良さ、落ち着きを感じさせてくれるのが「遺留捜査」。心地良く身に着けた装いが、役としての思考・行動も導いてくれる…そんなふうにすら思えるのがこの作品です。
――視聴者にメッセージをお願いします。
おかげさまで第7シーズンを迎え、かつ木曜ミステリー枠最後の作品という栄を賜ることができました。しかしその重みは一旦忘れて、今は撮影に臨んでいます。
これまでどおり糸村と特対の面々が事件にどう向かっていくのか見守っていただければ。そして、変わらぬ「遺留捜査」を変わらずにお楽しみいただければ幸いです。
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