話題の「アベンジャーズ展」に潜入!“ヒーロー”たちの展示が目と心の保養に

2022/06/28 12:30 配信

映画

ジャーナリストの原田和典氏が「アベンジャーズ展」東京会場に潜入した (C) 2022 MARVEL;Cityneon/※ザテレビジョン撮影

「スーパーヒーローになりたいか!」

僕はなりたい。昭和生まれの大人がこう言ったところで鼻笑いのネタにすらならないかもしれないが、樹木や猫やアライグマや謎の生き物など、人間ではない者も含むチームを組んで、より伸びやかで風通しの良い世界を作っていこうという姿勢は、その「夢具合」も含めて、なんだか悲しいほど美しい。

話題の「アベンジャーズ展」に行ってみた


気持ちを高ぶらせたまま、6月21日まで東京・森アーツセンターギャラリーで行われていた「アベンジャーズ展 MARVEL AVENGERS S.T.A.T.I.O.N. 日本.」に足を運んだ。マーベル映画の「アベンジャーズ・シリーズ」は2008年公開の「アイアンマン」から始まった人気シリーズで、7月8日(金)には映画「ソー:ラブ・アンド・サンダー」の劇場公開も控える。

個人的に別格的といっていほどガッツリ心をつかまれたのは、2018年公開の「ブラックパンサー」ということになる。主演のチャドウィック・ボーズマンはその4年ほど前、ソウル・ミュージックの王者ジェームス・ブラウンの伝記映画「ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~」でブラウン役を鮮やかに演じ切っていた。これで自分はすっかり彼に親しみを覚えた。

そのチャドウィックが、「ブラックパンサー」ではこの上なく雄々しく、ワカンダの国王として振る舞っていた。ワカンダは架空の国だから実際に訪ねることはできない。だから自分はロケ地の一つである韓国・プサンのチャガルチ市場に行って思いっきり魚や肉を頬張ったり、十字路を発見しては「こんなに古びた風景が、映画ではあんなに近未来的になるのか」と感嘆したりした。

「アベンジャーズ展」より (C) 2022 MARVEL;Cityneon/※ザテレビジョン撮影

マリア・ヒル「さあ、私たちと一緒に世界を救いましょう」


さあ、編集者のYさんとアベンジャーズ談義に花を咲かせつつ中に入るといきなり、諜報機関S.H.I.E.L.D.のマリア・ヒルがスクリーンごしに我々を迎え入れてくれた。彼女はすでに、我々を傍観者だとは思っていない。「これからスーパーヒーローに関する機密情報や先端の科学についてたっぷり知ってもらいます。高度なトレーニングも受けることができます。さあ、私たちと一緒に世界を救いましょう」

その真摯(しんし)な目、きっぱりした口調は完全に我々を「同志」として見ている。マリアさん、了解です。Yさんも心の中で「アイアムオーケー」とうなずいていたはずだ。

キャプテン・アメリカのシールド(盾)や、ハルクのとんでもなく大きい手に触れ、そのデカさ、分厚さを体験しているうちにだんだんと、自分はもう、アベンジャーズの「ア」ぐらいの位置にはいるのかもしれないとうれしくなる。会場は超満員、体験型ゲームには特に長蛇の列ができている。のぞきこんでみると親子連れが多く、子どもたちがとてもうれしそうに、全身で格闘しているのが見えた。「スーパーヒーローなら、ここは若者たちに任せるだろう」と思い、僕は先を急いだ。