――卒業してから初の女優としての仕事が“つかこうへい十三回忌追悼公演”という大きな舞台。最初に聞いたときの感想を教えてください。
最初、卒業後のお話をしていて、「舞台はどう?」という話になり、私は舞台が大好きだったので、「また楽しい舞台ができる!」とかなり喜びました。これまで「じょしらく」「あさひなぐ」と二つの舞台をやらせていただいて、どれもすごく自分に似た役で楽しかったので即答という感じでしたね。ただ1週間後にタイトルを聞いて驚きました。私にできるのかなって…。もう5分おきにお母さんに「どうしたらいいかな」「明日が来ないなんてことあるかな?」ばかり言っていて(笑)。やはり「蒲田行進曲」というタイトルの重さを感じましたね。でも「乗り越えた先には、絶対に今持っていない感情をひとつ持てるようになるよ」と言われ、そういう自分に出会ってみたいと背中を押され、「よし!やらなきゃ」と気持ちを切り替えました。
――つかこうへいの舞台についてどのような印象を持っていましたか?
奥深いというか…セリフの言葉が全てではないんですよね。その言葉の奥に気持ちがあって、伝わることはまた違う。言葉が本音ではないんですよ。それが本当に面白くもあり、難しくもあり、そしてエネルギーもものすごく使います。今、稽古中ですが脳がフル回転している感じ(笑)。終わったときに自分が舞台に立ったままでいられるか不安なくらいです。あとやっぱりすごいと感じるのは、役者の皆さんがあんなに大きな声で噛まずに大量のセリフを早口で言えること。マイクを使わずに会場に響く声を出すこともすごいですし、同じ声量なのに全く違う感情が伝わってくるのもさすがだと思います。私もその位置までいけるのか…かなり不安です。
――つか作品のセリフ量の多さは有名ですね。
演出の岡村(俊一)さんに、想像の400倍セリフの量があるよと言われたので、本読みが始まる前の2週間くらい、集中できる夜12時から朝4時くらいまで毎日練習をしました。もうひたすら覚えて、一応、皆さんと本読みをする日には緊張しながらですが、何とかセリフを言うことはできました。ただここで難しいのは、私は一言一句間違えずに言うんですよ。ただ他の役者の皆さんは自分なりのニュアンスを加えて若干言葉尻などを変えて、感情を乗せやすいセリフにしている…。それを聞いたとき、どうしたらいいんだろう…と分からなくなってしまいました。岡村さんにも「セリフとして合っているけど感情は乗っていない」と言われたりして。
ただ私は感情の乗せ方や、自分なりのアレンジの仕方がイマイチ分かっていないんです。これまでも新曲ごとに歌詞や振り付けを覚えていましたが、その曲に対しての歌詞や振り付けは絶対に最初から変わることはなくて…。それが染みついちゃっているということもあり、ニュアンスの乗せ方が分からない。ただ役を深めるためには絶対に必要なことなので、周りの皆さんの動きを見ながら勉強してやっていこうと思っています。
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