花守ゆみりと東山奈央が映画『ゆるキャン△』の中で好きなセリフとは?

2022/07/01 18:01 配信

映画 アニメ インタビュー

花守ゆみり東山奈央

山梨県や静岡県を舞台に、女子高生たちがキャンプに行く姿やその日常を描いた『ゆるキャン△』。2018年のTVアニメーションシリーズの第1作目放送直後からブレイクし、一躍「ソロキャンプ」ブームを巻き起こしたアウトドア系ガールズストーリー『ゆるキャン△』の映画版が7月1日(金)に公開されることが決定。

今回は公開に先駆けて、各務原なでしこ役の花守ゆみりと、志摩リン役の東山奈央にインタビューを実施。作品にかける思いなどを聞いた。

――映画化の第一報を聞いた時、台本を初めて読んだ時に出した声の再現をお願いします。

花守「1回、息が止まる『えっ』ってやつですね(笑)。その後の『ええぇぇぇぇっっ』ですよね!映画化第一報を聞いたのは、最初のTVシリーズが終わってから開催した集大成的イベント(2018年10月の『ゆるキャン△ 秘密結社ブランケット入団説明会 2018 Autumn』)だったんです。その時、「ショートアニメ『へやキャン△』とTVアニメの続編と映画が一気に決定しました!」というのを、私もステージ上で初めて知って、思考が追いつかなくなる感じ(笑)からの衝撃ですよね…。『あ、続きあるんだ』だけじゃなくて『えっ!ショートアニメと続きと…映画!?』みたいな感じでした。『SEASON2』の途中で『映画って、どういう内容になるんですか?』と、スタッフさんに聞いた時、『大人になります!』というのをサラッと聞いて」

東山「まだ線画状態だったけれどビジュアルを見せてもらったんだよね?まだ未完成で、線しかない状態だったけど『これは!?』『大人ですか…!?』ってなって(笑)」

花守「奈央さんのその反応を聞いて『大人…大人…大人…』って、脳内でエコーしていました(笑)。原作コミックでは彼女たちはまだ女子高生なので『大人ですって!?どうなっちゃうの、私たち!?』っていう感じでしたね。その後、台本の前にさまざまな資料をいただいて、ようやく実感が沸きましたね。『本当に大人になった映画を作るんだ』という気持ちを噛みしめていました」

東山「イベントで初めて聞いた時は、映画が制作されるなんて夢にも思っていなかったので、すごく驚いて。ただ、あの日は一気に発表があったので『映画は遠い未来の話だな』と思っていたんですけど、あっという間に4年の月日が経って『ようやく映画にたどり着いたな』と、今はとても感慨深くて。映画のアフレコ台本をいただくと、その厚さで『大体これくらいの尺かなー』と分かるんですけど、今回は『ぅおっ!』という感じで(笑)。映画も120分あるんですよ!そのボリュームの台本を手にした時を再現すると『ぅおっ!マジか…』ってなりました(笑)。TVアニメの30分では描けないドラマ性がきっとあるんだ!と、この台本の分厚さから感じたので、1枚1枚ページをめくりながら、すごくワクワクしながら読ませていただきました」

――映画『ゆるキャン△』の物語を演じてみての感想を聞かせてください。

花守「とにかく『大人になっている』という印象でした。『リンちゃんがオフィスにいる!』という驚きや、なでしこの仕事場での細やかな接客態度や言葉遣いのなかに、ちゃんと時を経て素敵な女性になっているんだ、というのを感じて、大人になっている実感を演者として受けるという衝撃がありました。野クルのみんなやリンちゃんたちと集まった時は童心に返るというところはあまり意識せずに演じていたのですが、改めて彼女たちの1対1の会話や、社会の中で先輩と会話している時に感じる『私たちが演じていた時のなでしこたちじゃないんだ』というほのかな寂しさもちょっとあったりしました」

東山「折に触れてリンを演じる機会があったので、TVアニメから期間が空いていても、スッとリンに戻ってくることができたんじゃないかな、と思いつつ、映画で描かれる彼女は、やっぱり大人のリンではあるので、どうしたら皆さんが持っているリンのイメージをそのままにしながら、大人の一面を感じていただけるかな、と最初はちょっと身構えていたんです。でも、台本を読んだら、そこがすごくナチュラルに描かれていて、私たちが知らない歩みをセリフの節々から感じました。わざわざ自分が何か心がけなくても、きちんと大人としてのリンになっていたので、すごく演じやすかったな、と思いました」

――印象に残っているシーンやセリフを教えてください。

東山「リンちゃんの『考えとく』ですね。TVアニメでも何度か、なでしこや千明に何か言われた時に言うセリフなんですけど、映画でも登場します。リンって、大切なことほどはっきり言わないんですよね。『○○しようよ!』と言われても『いいよ』『ダメ』じゃなくて、『そうだな』『考えとく』とか。でも、それがリンにとって、何を意味しているのかは野クルのみんなは分かっているんですよ。そこにすごく絆を感じて…。観ていて、とても心地いいやりとりだなって感じたので、ぜひ注目していただけたらなと思います」

花守「印象に残っている、というよりも『変わらないな』と思ったセリフなんですけど…。なでしこは、クセというか馴染んでいるものだと思うんですけど、会話の語尾で『ね、リンちゃん!』って同意を求めるんですよね。久しぶりに会っても、それが変わらないんだって。いくら歳を取っても『ね、リンちゃん!』って言って、笑顔で振り向いて…」

東山「いやー、本当に、私もそのセリフについて言いたいんだけど、みんなでいるのに、なでしこは『ね、リンちゃん!』ってピンポイントで!『え!なんで私にだけ…、え!?』みたいな(笑)」

花守「もう大好きなリンちゃんが後ろにいることを確認して(笑)」

東山「『なでしこ…』って、ジト目で聞いているリンも毒っ気を抜かれちゃうというか『…うん』と言わざるを得ない真っ直ぐな目で見てくるので、私もそのセリフ、すごく好き!」

花守「映画でも、みんなでいろいろな意見を出し合うんですけど、なでしこは『じゃあ、こうしようよ。ね、リンちゃん!』って(笑)。絶対に振り返って言っているんですよ。それが『本当にこの子たち、高校生の時から変わらないな』って、すごく愛おしくて愛おしくて…。リンちゃんも『なでしこが言うならいいよ…』みたいな感じで」

東山「そうそうそう。元々まんざらでもないというのをはっきりは出せないんだけど、なでしこが言うことによって、言えるというか。リードしてくれる感じがあるんですよね」

――『ゆるキャン△』から受けた影響がありましたらお聞かせください。

東山「1番大きな影響は、皆さんが『ゆるキャン△』を知ってくださって、アニメを普段ご覧にならない方も好きになってくださって、アニメやキャンプ、そして飯テロの話に花が咲く、というのがすごく嬉しくて。いろんな人と私を繋いでくれた作品だと思っています。私、元々インドアな人間なので、これまではキャンプに親しみがなかったんですけど、リンちゃんというソロキャンパーの役にめぐり逢って、キャンプをすごく意識するようになって『自然がある場所に行きたいな』と思うようになりました。30歳になって、そういった落ち着いた場所がどんどん好きになって(笑)。まだキャンプには行ったことはないんですけど、30歳の節目に発行させていただいた私自身のオフィシャルブックのロケでグランピングに行かせていただきました!あと、おうち時間が長くなったのを機に『ゆるキャン△』に登場したごはんを作ったりしましたね。『ゆるキャン△』のおかげで、気持ちが晴れやかに、日々が豊かになっているなぁ、と感じています!」

花守「まさに私は『ゆるキャン△』の影響でキャンプをはじめたんです!と言うのも、TVアニメ第1作目が放送終了してしばらく経ってから、他のアニメでご一緒したスタッフさんから『ゆるキャン△』を観て、キャンプしたいと思っているんだけど、よかったら一緒にいかがですか?とお誘いを受けたのをきっかけにはじめたんですけど、そこからもうズブズブとギア沼にハマって行き、『コーヒーを淹れたい!』と、取っ手が取れるコーヒーミルみたいなものを2、3個買ったり、ランプも電気だけでなく、雰囲気たっぷりのロウソクタイプとか、いろいろなタイプを無尽蔵に集めちゃったり…。どんどん友達と沼にハマって、最近、ついに中型のダッチオーブンを買いました! それはおうちでも使っています。それまではインドア系の趣味が多かった人間だったんですけど、友達と3ヵ月に一度のペースでキャンプに行ったりして。『ゆるキャン△』という作品に出会わなければ、絶対にこの趣味にハマることはなかったと思います」

取材・文=中村実香