――俳優と同時に、声優としても活躍されています。『天元突破グレンラガン』のアンチ=スパイラル役ではアニメファンからも絶賛の声が上がりました。ご自身、アニメやゲームがお好きとのことですが、その魅力とは?
誤解を恐れずに申し上げるならば、ドラマや実写映画が持たない自由度かと思います。最近でもハリウッドで日本のロボット作品を実写化するという話がありました。CGは発達しましたが、生身の人間が演じる以上、どうしても制約が生じると感じます。一方アニメーションやゲームは制限のタガを大きく外せるのが武器ですし、そこに描かれるすべての事象に意図を込められるからこそ、よりメッセージ性も強くできる。そこに声優として携われることは冥利に尽きると思っています。
――上川さんがアニメ好きになったきっかけは『宇宙戦艦ヤマト』だと伺っています。『無敵超人ザンボット3』もお好きとか。
『ザンボット3』はこんなに凄い作品が1970年代からある事を紹介しただけです(笑)。このコロナ禍でのおこもり中には劇場版『イデオン 接触編/発動篇』や『未来少年コナン』も観ました。少年時代は卓越した能力を持っているコナンが仲間を得て成長していく姿にいくことに魅力を感じていましたが、この歳になって観ると改めてダイスという役柄が魅力的なんです。亡き永井一郎さんの名演技が創り出した泥臭いけど人間らしい立ち振舞い。そこに惹かれます。
――アニメファン界隈では、「上川さんは我々が好きな深夜アニメなども観ているのだろうか?」という議論が出ていたりもします。
(笑)。面白そうな作品なら、勿論深夜作品でも観ます。例えば『魔法少女まどか☆マギカ』とか『SSSS.GRIDMAN』、『アルドノア・ゼロ』も好きでした。古いですか?(笑) 最近はサブスクリプションも充実していて便利です。ジブリ作品も好きです。エンタメ作品は全般的に好きです。
――自粛期間にゲームも遊ばれたとか。どんなタイトルをプレイされましたか?
購入してもお仕事が忙しくてプレイできず、積んであったゲームにようやく手をつけました。例えば『ファイナルファンタジー7』リメイクもその1本。一昨年出た作品を、ようやく開封できました。素晴らしかったです。単に画面が綺麗になり、キャラが流麗に動くというような形だけのリメイクではなく、ストーリーの根幹にも“今”という視点のアレンジが施され、続く作品のストーリーもオリジナルとは変わっていくのではないかという期待感がありました。オリジナルが90年代の作品で、そこから20年以上を経て、ちゃんと今の『ファイナルファンタジー7』が物語として紡がれていると感じられました。ほか『ホライゾン ゼロ ドーン』も遊びました。実によく練られたオープンワールド作品だと感じました。続編が今年の2月に出て、それは今まさに積んである状態です(笑)。
――改めてエンタメが持つ力とは?
やはりエンターテイメントは心の遊び場だと思うんです。自分自身の行動範囲が限られたとしても、時間も空間も超越して遊べる空間。そのポテンシャルが、コロナ禍のおこもり期間で十全に発揮されたのだと思います。『遺留捜査』も糸村の変人ぶり、科捜研における珍奇な会話や、主軸となる遺留品に遺された想い、これらに自由に想いを馳せていただいて、楽しんでいただければ幸いです。
――『遺留捜査』はもちろん、今後も上川さんの声をアニメ作品でも聞けることを楽しみにしています。
叶うことなら、僕もそう願いたいと思っています。まずは『遺留捜査』、間違いなくエンタメ作品ですので是非皆さん、楽しみにしていてください。
■取材・文/衣輪晋一(メディア研究家)
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)