感情も、絵の具と同じようにそれぞれ個性を持ち、混ざり合うことでさまざまに形を変えていく、というこの理論。ドラマでは、色相環のようにひとつひとつの感情に色彩を割り当て分類した「プルチックの感情の輪」を時おり参照しながら、朱梨の推理が展開していく。
実在する理論を踏まえたストーリー展開はとても斬新で、知的好奇心をくすぐる。また、朱梨が刑事でありながら聞き込みが苦手だったり、相棒の風早が朱梨と正反対なたたき上げ刑事然としたキャラクターだったりとユニークな設定が随所にちりばめられ、他の刑事ドラマとはちょっと異なるおもむきだ。そして、“感情の色”をもとに真実を見つめようとする朱梨役・飯豊の力のこもった視線が強烈で、印象深い。
ストーリーのクライマックスで、被疑者が罪に初めて向き合って心情を変化させる瞬間を“色の変化”で鮮やかに表現するアイデアもユニーク。朱梨の目に映る“感情の色”が今後、事件解決にどう絡んでいくのか。そして、朱梨自身が過去のトラウマとどう向き合っていくのか。初回だけで朱梨の個性的なキャラクターと特殊能力をしっかり描いた今作だけに、今後も新たな仕掛けが待っていそうだ。(文=ザテレビジョンドラマ部)
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