自宅で持ち帰り仕事をしている最中、異世界に召喚されたブラック企業勤めの青年・佐野ユージ。冒険者になることも難しいとされる不遇職・魔物使い(テイマー)ながら、仲間にしたスライムのおかげでさまざまな魔法の力を手にし、第2の職業『賢者』を手に入れた彼が、最強の力で無自覚無双する様を描くアニメ「転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~」が、7月より放送されることが決定。放送に先駆け、主人公・ユージ役を務める小林千晃にインタビューを実施し、ユージに対する思いなどを聞いた。
――ユージ役を演じることになったと知った時の率直な気持ちを聞かせてください。
「僕は感情の起伏が激しいタイプではないので『すごく演じやすそうだな』と思いながらオーディションに臨みました。その予感通りに、ユージはすごく演じやすくて、決まったというご連絡をいただいた時は、嬉しかったですし『やっぱりあのやりやすさは間違っていなかったんだ』というのもあって、自分の性に合っていたのが、そのまま小嶋慶祐監督をはじめとするスタッフの方々に伝わっていたんだなという嬉しさもありました」
――ユージ役を演じやすいと感じた理由は?
「ハイテンションな役だと自分を同じレベルまで引き上げるのにエネルギーを使わなければならないんですけど、ユージのように割とローテンションで淡々と現実を受け止めていくというのは、割と僕もそういうタイプではあるので、役作りのためのエネルギーをそんなに使わずにできる分、他の表現に余裕ができる感じがします。意識することが少ない分、他のことに集中できるので、そういう意味でやりやすかったかもしれないです。例えば、すごく元気のいい役だと、その状態で『もっと悔しく!』とか『もっと追い詰められて!』という演技指導をいただくと、ハイテンションを維持しつつも、お芝居をしなきゃいけないんですけど、ユージの場合はそのままで喋れば良いので、すごくやりやすかったです」
――「演じやすい」と思う根底にある、小林さんとユージの共通点は?
「特殊な状況に置かれても割とすんなり受け入れられるというか、ハプニングが起きても慌てふためかないという部分は近いのかなと思います。なので、日頃のリアクションとかは大きくしたいな、というのは思っちゃいます。1人でいる時は全然良いんですけど、友達と一緒にいる時にリアクションが薄いと『おもしろくないな』って自分でも思うので(笑)」
――小林さんが思う、ユージの魅力を教えてください。
「最初はテイマーとして、スライムたちをテイムしているんですけど、意外とちゃんと仲間意識があって、信頼している描写も結構あるんですよね。ブラック企業に勤めていたからか、自分より立場が下のものにもすごく優しくて、要望もちゃんと聞いてあげるし。テイムというと上下関係を感じさせますけど、下の魔物たちにも優しく平等に扱っているところは、良い上司というか、ユージの魅力だと思います」
――ユージを演じる上で、彼が勤めていた「ブラック企業」に関して、事前に情報収集したことはありますか?
「ブラック企業に関する情報というより、自分の置かれている状況で『不当な扱い、不当な賃金で働かされていたら』(笑)と、置き換えて演じています。自分自身がブラック企業勤めの経験がないのに、そこに没入して演じることは難しいと思ったので、『もし1日に5~6本、アフレコの仕事をしているのに1本に満たない賃金しかもらえない状況で働いたらどうなるだろう』みたいなことを考えました(笑)」
――ユージのいる異世界に転生したとしたら、どんなことをしてみたいですか?
「現実でも旅行とかが好きなので、とりあえず冒険はしてみたいんですけど、魔物は怖いので(笑)。戦えない職業だった場合は、その時に自分が持っているスキルを活かした堅実な仕事に就いて、そこでお金をコツコツ貯めて、強い冒険者を雇って旅行に行きたいですね。1人ではちょっと嫌ですね(笑)」
――6月4日に28歳のお誕生日を迎えられましたが、20代を振り返って気持ちを聞かせください。
「この仕事を始めたのも20代に入ってからなので、激動の20代だったな、と思います。それまでの学生時代は、学校に行って授業を受けるという決まった流れに沿って行けば、なんとかなっていたけど、この仕事を始めてからはちゃんと能動的に自分から勉強して、それを結果で残さないといけないということを働き始めてから知りました。その中で、キャリアを重ねていくごとに、お声がけいただける作品や現場の幅も増えてきて。それ以前の人生とは全然違う頭の使い方をしたなという感じです。これから先は、ここまでで得たものをどう消化できるのかというところに入るのかもしれないですね」
――放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
「ユージは元々ブラック企業で働いていて、そこから異世界に転生した故に、どんなできごとにもあまり動じないという精神を身につけている社会人なので、皆さんに親近感を持っていただける主人公だと思います。異世界で大きな力を手に入れてしまって無自覚に戦っていく彼ですが、ブラック企業勤めだった時につらかったからこそ、他の人たちに優しくできるという、強いだけじゃない、クールなだけじゃない、ちゃんと血の通った人物としての魅力が詰まっている作品だと思います。ぜひ、かっこよく描かれているユージの戦いを観ていただければと思います。よろしくお願いします」
取材・文=中村実香 撮影=永田正雄
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