――ミュージックビデオでも演技をされていると思いますが、映画での演技はやはり違いますか?
全然違います! 自分ではなく、監督が見えているものをみんなで力を合わせて作っていくというところが違いますね。私は一人で歌を歌って、作って、それでステージ上でたった一人でもライブをして、歌さえ歌えればもうそれで完成なんですけど、映画の場合はそうはいかなくて。
私と監督と他の役者さん、自然にあるもの、風景というか、風とか光とか、全部の状況が重なってやっとワンシーンを撮れるという、すごく地道で奇跡的な瞬間の連続なので、すごいなと思いました。
――主演の松風理咲さんの印象はどうですか?
本当にピュアで、存在自体が一枚の絵のような女の子ですよね。とても真っすぐで、すごくかわいいなあって思いました。私、年下の女の子と接するとき緊張するところがあって、一緒にいるからには楽しんでほしいなってプレッシャーを勝手に感じちゃうんです。
でも、私が歌うシーンで、松風さんも前のめりで聴いてくださっていたので感動しました。
――そしてキミエがお世話になる、杏子(松風)のお母さんを演じられた富田靖子さんはいかがでしたか?
現場に入って何日目かで富田さんとお会いしたんですけど、撮影が始まったときに、ポンッ!とスイッチが入って緊張感というか空気がガラッと変わるので、本当に女優さんってすごいなと思いました。
富田さんとお話して、目が合ったときにそのオーラを感じました。現実離れしていると言いますか、すごく不思議な感覚で、まるで魔法のようでした。
――「意味深ショット」も話題の前野さんはどうでしょうか?
前野さんは面白いんですけど、とてもミステリアスです。お話すればするほどどこまでが本当でどれがうそなんだろう、という感じがありますね(笑)。面白くて優しくて、音楽がお好きで、お芝居をしたいという気持ちがあふれていて、どこまでもミステリアスな方という印象です。
――酔っ払うシーンや前野さんに抱きつかれるように見えるシーンもありましたが、事前に打ち合わせはされました?
酔っ払いシーン(笑)。それに関しては、映像を見ながら反省したんですけど、酔っぱらって暴れる私を前野さんが押さえようとするシーンで、加減が分からなくて、感情を込めて強く殴っちゃったんですよ。
だからすごく痛かっただろうなと思ったんですけど、映像ではそれが思ったより出ていなくて。全然痛そうに見えないから、申し訳なかったなと反省しました。痛くなくても痛いように見せないといけなかったのに、悔しいです。
――終わった後には前野さんから何か言われましたか?
いえいえ、最初から「どんどんきていいよ!」と言われていましたから。あれは5テークくらい最初から最後までやったんですけど、マネジャーによると、「最後のは痛かったなあ」とカットがかかった後言っていたらしいです(笑)。
――それをご本人に言わないあたりが前野さんって優しい方ですね。
本当ですよ。でも、やっぱり申し訳なかったです。あと、キミエが入水自殺すると思って止められるシーンのとき、前野さんが「僕に身を任せてください!」って言ってくださったんです。
波がくるタイミングにパンって前野さんを投げ飛ばす、という難しいシーンだったので、撮影前はドキドキしていたんですけど、全部前野さんに身を任せていたら、パパッと現れて、パッて私を止めて、ドバーンっと勝手に飛んで行ったんです(笑)。
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