『あさイチ』話題の“推し活”コーナースタッフが語る 推し活隆盛の理由は、SNSの発達と社会の成熟

「#教えて推しライフ」ロゴ(C)NHK

あさイチ」(NHK総合)で2021年から始まった人気コーナー「#教えて推しライフ」。毎回「舞台俳優」「お笑い芸人」など推しのテーマを設け、“推し活”をしている視聴者にアンケートを行って取材する企画だ。7月20日(水)、21日(木)に「日本のドラマ」推し回が放送されるにあたり、番組統括を務める石塚利恵チーフプロデューサー、企画者の井上紗佑里ディレクター 、矢部裕也ディレクターに、本コーナーの企画経緯や想いについて語ってもらった。また様々なファンを取材してきた中で感じる、昨今の「推し活」隆盛の理由について聞くと「SNSの発達」と「社会の成熟」という答えが返ってきた。

多くの視聴者が興味を持ちやすいよう「推し」ジャンルの切り口を模索


コーナー化してタイトルがつく前の「#教えて推しライフ」は、元々「あさイチ」が8時台に放送する特集企画のひとつ「人生が輝くヒケツ!“推しのいる生活”のススメ」として始まった。2020年8月に井上Dが石塚CPへ提案したのがきっかけだ。

「私自身がとある俳優さんを推していることもあって、以前から虎視眈々と温めていた企画でした。また当時コロナ禍の不安な状況で、周りにも推しの存在に支えられているという人が多かった。タイミング的にも適していると思い提案しました」(井上D)

「私は『あさイチ』の担当になる前、『沼にハマってきいてみた』(10代が好き過ぎてハマった『沼』を調査し、共有する番組)を担当していたんです。『あさイチ』の視聴者層は30~50代がメインですが、同様に何かに情熱を注いだり、応援したいものがある方は多いだろうと鉱脈を感じました」(石塚CP)

2020年10月に初回の特集を放送し、2021年1月には続編「人生&社会が変わる!すごいぞ“推し活”パワー」も放送した。その後、非常に反響が大きかったことと、推し活には様々なジャンルがあり、それぞれを掘り下げる余地があることから、9時台のコーナーとして定着。2021年5・6月には「俳優」、7月に「音楽アーティスト」、9・10月に「お笑い芸人」、11月に「アジア俳優」、2022年1月に「舞台俳優」推し回を放送し、毎回SNSでは大きな反響がみられた。そして7月20日(水)、21日(木)に2日連続で「日本のドラマ」、10月には「声」推しを放送する。

回ごとのテーマは、推し活特集初回で集まった約4万5000通にのぼるアンケートを参考にして決めている。多様な「推し」をどのような切り口でくくると「あさイチ」視聴者が興味を持ちやすいか、スタッフで話し合っているという。

「たとえば『アイドル』を推している方は多いですが、『アイドル』の定義が難しい。ファンの中にもアイドルではなくアーティストという意識で推している方もいらっしゃるので、『アイドル』というくくり方は間口を狭めてしまうのではないかと考えました。『アニメ』も、10代向けの番組ならストレートにそのくくりでやったと思いますが、『あさイチ』の幅広い視聴者層に向けては、『アニメ』をテーマとして打ち出すとターゲットがごく一部になってしまう。なるべく多くの方に興味を持っていただきたいので、間口の広い切り口を心がけています。10月放送回は『声』推しという形にしたのですが、これも声優、アナウンサー、ラジオDJなど様々な推しを扱えるためです」(石塚CP)

現在「“声”推し」に関するアンケートを募集中(C)NHK