コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットな漫画情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、グラハム子さんの日常エッセイ漫画をご紹介。自分の子供が幼稚園のマラソン大会に出場した時のことを描いた話がTwitterで2.8万いいねを獲得。他にも、ブレイブボードに挑戦した話や、生花店で働いていた時に起きた出来事を描いた漫画の数々がSNSで話題になっている。書籍も複数出版し、イラストレーター・漫画家として活躍するグラハム子さんに、漫画を描き始めたきっかけや、エッセイ漫画を描くことについて話を聞いた。
グラハム子さんが漫画を描き始めたきっかけは育児中の趣味を見つけたいという思いからだったと言う。
「育児中って家にずっといて、外に出ることもなかなかできず。家でも気軽にできる趣味として、インスタグラムで育児日記を描き始めたんです」
当時はインスタグラムでは画像が1枚しかアップできなかったので、もっぱら4コマ漫画や一枚イラストのスタイルで投稿していた。そして作品を発表し続けることで、子育て情報などを扱うWEBメディアから声がかかるようになり、漫画を描くことが仕事になっていったという。
「インスタグラムの機能拡張に合わせて、私の漫画も成長してきました。投稿したての頃はノートにモノクロで描いていましたが、今はiPadで描いています。4コマ漫画だけではなくて、長さのある話も描けるようになって、エッセイ漫画だけではなくフィクションも描けるように。“コツコツやる”と言うとすごい努力家のようですが、漫画を描くということが向いていたんだと思います。主婦なので、片付けなどの家事をもっとしなきゃな〜…と思うこともあるのですが、それよりも『漫画描きたい!』という気持ちが強くて。漫画が仕事になった今も、漫画を描くことが辛いとか嫌だとか思ったことはなくて、楽しく続けられていますね」
グラハム子さんが漫画を描く上で気をつけていることを聞くと「私の作品は、私と同じような子供を持つ女性が読むことが多いので、わかりやすさを心がけています。少年漫画や少女漫画だとコマ割りも凝っていたり、ストーリーの視点も色々と工夫されていたりしますが、漫画に慣れていない方でもすっと読めるようなスタイルを意識していますね」とのこと。グラハム子さん自身も漫画を読んでいて、理解することに時間がかかってしまう経験があったことから、多くの人によりわかりやすく伝わりやすい表現には気を遣っているのだそう。
「花屋の思い出」「母の日の思い出」は、グラハム子さんが学生時代にアルバイトをしていた生花店での一幕を漫画にしている。
「アルバイトしていたのは大学時代なので、15年くらい前です。バイトで数年しか働いていなかったので、花屋さんのお仕事に深く関わっていたわけではないのですが、印象的な出来事だったのでよく覚えています。母の日に子供たちが花をくれてり、庭いじりも好きなので、そうした時にこんなことがあったな、と思い出して描きました」
「心配ないさ」も8年前にあった出来事を漫画にしたもの。夫と大げんかをしてしまったグラハム子さん。思わず家を飛び出したものの、そこで偶然見た大西ライオンさんの「心配ないさーーー‼︎」の芸に救われ、夫と向き合う気持ちを取り戻せるようになったという話だ。大西さん本人にも作品は届き、コメントが寄せられた。リアルタイムの話ではなく、過去の思い出を漫画にするのは何か特別な思いがあるのだろうか?
「その出来事があった当時は漫画を描いていなかったというのがあります。描くようになってすぐの頃は表現方法がわかっていなかったのですが、自分なりの漫画の描き方がわかるようになって形にすることができました。子供たちももう小学生で、彼らなりの思いもあるので子供たちをメインにした話は徐々に減っていくと思います。ただ、仕事とは別に、日常漫画はこれからも描いていきたいです」
漫画を描き続ける意欲はありつつも、さまざまなことに挑戦していきたいという気持ちも強いのだそう。
「ありがたいことですが、『漫画家になろう』という強い意識があったわけではなく、自分に向いているものを選び取っていったら漫画やイラストが残ったという感じです。残念ながら発行までは至らなかったのですが、地元のPR用フリーマガジンを自主制作して市にプレゼンしたり、似顔絵イベントに出たりと、漫画やイラストを使って、活動の幅を広げてきました。その一方で、ひとりの“おばさん”として、周りにパワーを与えられるような人物になっていきたいというのが一番の目標なので、漫画にこだわらずにさまざまなことにチャレンジしてみたいですね」
具体的に何を?と聞くとそこは秘密なんだそう。
「Twitterを中心に活躍されているDJあおいさんの“努力はパンツ”という言葉が好きなんです。パンツは人に見せびらかすものでも、売り物にするものでもない。努力もそれと一緒だということです。なので、人に披露できるようなものになったという自信がついたらお見せします!」
漫画も期待しつつ、グラハム子さんが今後どのようなフィールドに向かうのか楽しみに待ちたい。
取材・文=西連寺くらら
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)