――木村さんは歌手デビューをされる前からこの番組に出演していました。「saku saku」には特別な思いもあるのではないでしょうか。
木村:私は本当に小さい頃から歌が歌いたかったんですが、最初は「音楽番組がMCを探しているよ」と聞いたんです。私はとにかく歌いたかったので「音楽の仕事がしたい」という思いがきっかけで「saku saku」に出られることになったんですけど、出てみたら全然音楽番組じゃないんです。
菊谷D:おかしいぞ、と(笑)。
木村:「マジで?」ってなりました。
菊谷D:たしかに“音楽情報バラエティー”とは言っていたよね。
木村:「あれ、これは?」とはなったんですけど、「saku saku」に出ている時間がすっごく楽しくて、自分のままでいられる感じもあって。結果的にはたくさんの人が見てくれたから良かったです。菊谷さんががむしゃらに頑張ったからね。
菊谷D:いやいや木村さんが頑張った。
木村:私はただ座っていただけだから。
菊谷D:俺だってしゃべっていただけだよ(笑)。
木村:(笑)。たくさんの方が見てくれて、結果的にデビューにつながっていった部分もあるので、そういった意味では「出会いって大事なんだな」とすごく思います。私の歌手としてのスタートはここからなので、すごく大事な場所です。
――デビューシングルも「saku saku」の企画で制作されたんですよね。
菊谷D:あれは企画というよりも、カエラちゃんが歌を歌いたいからプロデューサーとかを「ふざけんじゃねぇ、音楽情報バラエティーやないんかい」って締めあげたんですよね、おそらく。
木村:そう、呼び出してね。それでこういうことになったんです (笑)。
――今回はtvkの開局50周年記念特番ということですが、開局50周年ソングも木村さんが歌う「Color Me feat.マヒトゥ・ザ・ピーポー」が起用されています。
菊谷D:最初に「saku saku」をやっていた頃は、カエラちゃんは友達というか、本当に“そこら辺の人”みたいな感じだったんですよ。「こんな番組、誰が見ているんだ」くらいの感じでやっていたのが、今では俺が普通に「うぇい」って話し掛けていると「なんで木村カエラとあんな普通にしゃべれるんですか! すげえ!」と言われる。自分としては「そんなにカリスマでもないだろう」というくらいの感覚なんですけど、そんなに急激に登っていった人を見たのはカエラちゃんがたぶん初めてだったし、そういう姿を間近で見られたのは一生忘れられないような出来事ですね。だから、今回50周年の歌をカエラちゃんが快諾してくれたのは、本当に奇跡的な話だと思うんです。いまだに、当時出会って、今こうしていることが信じられない。
木村:「開局50周年ソングをお願いしたい」とtvkからお話があった時に、私含め、周りの人たち全員が「やるやる!」という状態でした。やらないという選択肢はなくて、「じゃあ、どんな曲がいいかな」とすぐに考え始めていました。想像を膨らませている中で、今回の「saku saku」の話もあって、どんどんつながっていく感じと、「戻っているんだけど戻っていない」というような感覚がすごく居心地いいなと思っていて。自分が大切にしてきた場所に、こうして時がたってもまたみんなで集まれる、ということが何よりも幸せなことだと思います。
菊谷D:当時も「これ笑ったなー」みたいなことはいっぱいあったんですけど、改めて今日やってみて思うのは「今回の収録が一番良かった」ということですね。本当に最高の出来だと思いました。俺がどうというより、おこがましいようだけどカエラちゃんの成長と言うか。足立区のチンピラだった子が、いろんなことを吸収してナチュラルに話している姿を見て、ちょっと感動しました。冗談で「さらに16年後にまたやれたらいいな」と言っていたんですけど、本当に楽しみ。それまでに糖尿病にならないように気をつけないと。
木村:本当だね。