料理対決番組不況の今『CHEF-1グランプリ』企画の理由 『M-1』と同じ「ガチさ」が真髄

「CHEF-1」で優勝するために、仕事を辞めて挑む料理人も

「CHEF-1グランプリ 2022」の様子(C)CHEF-1グランプリ 2022


――「熱闘甲子園」の部分は?

「『M-1』でも、ネタ前にそのお笑いコンビが何を背負っているのか、ちょっとしたVTRを入れていましたが、そうした裏の部分を徹底的にフィーチャーしました。予選で負けていく高校生たちの涙、勝つ高校生がどんな想いでここに立っているのか。想いと想いのぶつかり合いを『熱闘甲子園』では放送してきたのですが、勝負は非情で、名門校が勝つこともあれば、初出場の高校が勝つこともある。そういったドラマを背景から魅せる手法ですね」

――ドキュメンタリー的な作りということでしょうか。

「はい。我々はただの料理対決じゃない、ドキュメンタリー番組を作っているような気持ちで臨んでいます。我々が提供できるのは“場”だけ。そこで起こることは我々にも手が出せない。もしかしたら料理を失敗するかもしれないし、最高のパフォーマンスが見られるかもしれない。それはスポーツやボクシングなどの格闘技にも似ていると思います」

――予選をご覧になって、料理人の真剣具合は?

「本当に人生をかけてやってくれています。中には仕事を辞めて挑んでくださる方も」

――仕事を辞めてまで!?

「優勝するためには仕事をしてる場合じゃないと。ほか、コロナ禍で借金を背負ってしまい、これで優勝しなければ料理人を辞めますとおっしゃる方もいる」

――まさに人生がかかった戦いですね。

「そうです。その結果、思わぬ事態が起こったりするのです。料理の“理”というのは“理屈”の“理”。味付けというのもいわば化学反応であり、料理=理屈の産物という考え方もできる。ですが真剣勝負になると、その“理”を超える瞬間が訪れることがある。その“理”を超えた時の彼らは本当に輝きます。真剣勝負では稀に奇跡が起こるのです」

――その姿は視聴者にも美しく、かっこよく映るでしょう。

「我々はこの番組を通して“料理人ってかっこいい”という“憧れ”を持っていただければと思っています。“憧れ”が、料理人人口を増やし、それによってまた素晴らしい料理人が輩出される。そこから、料理界を盛り上げたいんです」