――「熱闘甲子園」の部分は?
「『M-1』でも、ネタ前にそのお笑いコンビが何を背負っているのか、ちょっとしたVTRを入れていましたが、そうした裏の部分を徹底的にフィーチャーしました。予選で負けていく高校生たちの涙、勝つ高校生がどんな想いでここに立っているのか。想いと想いのぶつかり合いを『熱闘甲子園』では放送してきたのですが、勝負は非情で、名門校が勝つこともあれば、初出場の高校が勝つこともある。そういったドラマを背景から魅せる手法ですね」
――ドキュメンタリー的な作りということでしょうか。
「はい。我々はただの料理対決じゃない、ドキュメンタリー番組を作っているような気持ちで臨んでいます。我々が提供できるのは“場”だけ。そこで起こることは我々にも手が出せない。もしかしたら料理を失敗するかもしれないし、最高のパフォーマンスが見られるかもしれない。それはスポーツやボクシングなどの格闘技にも似ていると思います」
――予選をご覧になって、料理人の真剣具合は?
「本当に人生をかけてやってくれています。中には仕事を辞めて挑んでくださる方も」
――仕事を辞めてまで!?
「優勝するためには仕事をしてる場合じゃないと。ほか、コロナ禍で借金を背負ってしまい、これで優勝しなければ料理人を辞めますとおっしゃる方もいる」
――まさに人生がかかった戦いですね。
「そうです。その結果、思わぬ事態が起こったりするのです。料理の“理”というのは“理屈”の“理”。味付けというのもいわば化学反応であり、料理=理屈の産物という考え方もできる。ですが真剣勝負になると、その“理”を超える瞬間が訪れることがある。その“理”を超えた時の彼らは本当に輝きます。真剣勝負では稀に奇跡が起こるのです」
――その姿は視聴者にも美しく、かっこよく映るでしょう。
「我々はこの番組を通して“料理人ってかっこいい”という“憧れ”を持っていただければと思っています。“憧れ”が、料理人人口を増やし、それによってまた素晴らしい料理人が輩出される。そこから、料理界を盛り上げたいんです」
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