――そんな新曲ですが、待ちに待ったアニメで「オーバーロード」の主題歌です。今回のお2人の分担は?
オーイシ:テレビサイズは僕が作っていて、フルコーラスでDメロをTom-H@ck君が作っている感じです。
Tom-H@ck:今までは「Aメロだけ」「サビだけ」とかいろいろなコラボパターンがあって、今回はAメロBメロサビはオーイシさん、僕はアレンジとDメロ。今までのOxTにはない曲ですよね。
オーイシ:ガットギターが入っていますが、それも僕が弾いていますね。
Tom-H@ck:あれ、デモで弾いたやつをそのまま使って、弾き直さなかったんだよね。
オーイシ:あとOxTあるあるなんですけれども。今のアニメ業界って、1年前に曲作るじゃないですか。だから、本当は弾けるんですけれど、今は弾けないという(笑)
Tom-H@ck:そうだね。今の制作スパンだと1年前に楽曲提出が終わっちゃうから、もはや覚えていないという(笑)
オーイシ:海外にも向けてアニメを作るようになってから、そういうタイム感になりましたよね。
――どんなインスピレーションだったのでしょうか。
オーイシ:台本を読み込んで、ここまでやるのかっていうところまで把握した上で、制作しました。主人公のアインズ様の絶対的支配者の、蹂躙していく様だったりとか、あと侵略していく様だったりとか、その中でもすごい事を考えている策略家の面だったりとか、いろんな意図が交錯しているような回(クール)だと思うんです。
――アインズ様率いるナザリック地下大墳墓の勢力が地上に出て、「アインズ・ウール・ゴウン魔導国」を建国する内容ですね。
オーイシ:その辺をうまく表現できたらいいなという風に思ったんですけれど…。例えば、仮に僕の目の前にアインズ様がいたら、もう怖いどころじゃねえなということ毎回思うんですね(笑)。今回はその「恐怖」をラウドロックではなくて、趣向を変えてスパニッシュっぽい踊れる音楽に転換しています。恐怖でおかしくなって踊ってしまう、みたいな。
――分担をして、作曲されたそうですが、Tom-H@ckさんとしてはどうでしょう。
Tom-H@ck:僕も担当した部分としてはDメロやギターのアレンジとか、そういうところでこだわったところはたくさんあったんですけど。今回、オーイシさんがAメロ~サビまで作ってくれて、そもそも完成度が作曲の段階で高かったので、できる限りそのイメージから遠ざけない、そして飾り付けも邪魔しないようにしたり、ギターを弾きましたね。
――先に台本を読んで…とのことですが、笑ってしまうほどの恐怖、踊ってしまうほどの恐怖を音楽で表すってすごく大変な作業だと思います。どんなきっかけで音に変わるんでしょうか?
オーイシ:(Tom-H@ckに向かって)どうなってんですかね?
Tom-H@ck:そういわれると…だけど毎回僕らはそれをやっているけれどね。
オーイシ:そこはあまり言語化してないんですよね。あえて音楽家の“魔法”であってほしい部分なんです。知らないくらいがちょうどいい。だから、僕もそれを踏まえて答えさせていただくんですけど…「僕も不思議」です(笑)。
――作品性を音楽で表現するアニソンクリエイターのみなさんはウルトラCみたいなことを毎回やってるんですよね。
オーイシ:上から目線になりそうで怖いですが、ひとつ感じていることは…全体的に業界アニソンクリエイターのみなさんのレベルが高くなっていますよね。“的への当て方”がハンパなく上手くなっているというか。これまでのアニソンの歴史を積み重ねてきた中で、やり方が確立されてきているんだと思うんですけど、本当に的に当てるのが上手い人ばっかりだと思います。最近、特に。
――Tom-H@ckさんも日ごろから日本のエンタメのレベルを上げて世界に向けて発信したいと言ってますが、レベルが向上している?
オーイシ:ですね。でも、それもまた2つに分かれている気がします。世界水準でサウンドや楽曲を構築しているクリエイターさんもいますし、“日本のアニソン”の濃度を高めてクールジャパンパッケージで海外に向けて発信してるという、2極化していると思います。どっちのルートも正しいと思いますね。
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