俳優の高石あかりが、8月27日(土)より池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開する映画「とおいらいめい」にて、吹越ともみ、田中美晴と共にトリプル主演を務める。
彗星の衝突による人類滅亡が迫った2020年を舞台に、世界の終わりを前にすれ違う三姉妹を描く本作。高石は、ノストラダムスの予言を信じて家出をした二人の姉と生活をすることになった3女の音を演じる。
幼い頃より憧れた俳優という職業の実感を強く抱いたという高石に、映画の見どころや撮影現場の様子、俳優・高石あかりのルーツなどを語ってもらった。
――「とおいらいめい」はトリプル主演ということですが、大橋隆行監督とは高石さんが17歳の時に出会っていたそうですね。
今作にも出演されているしゅはまはるみさんは同じ事務所の先輩なんですが、そのつながりで見せていただいた作品を撮影されていたのが大橋監督だったんです。その時に試写会でお話をさせていただいたんですが、今回の映画の制作が決まった時に私のことを思い出してくださったそうで、本当にうれしかったです。私はこれまで舞台への出演が多く、映像作品はほとんど初めてに近かったので、すごく新鮮な体験でした。
――以前公開された映画でも主演されていますが、今作の撮影はそれより前だったんですか?
公開のタイミングは入れ替わったんですが、「べいびーわるきゅーれ」(2021年)より撮影は前でした。
――では、ほとんど初めての映画出演で主演という大役は、かなり緊張したのでは?
それよりもとにかく楽しみでした。私は保育園児の頃から俳優さんになりたいと言っていたので、映画に出ることでその実感が少し持てて、本当にワクワクして楽しみだったんです。
――作品の内容を聞いた時は、どのように感じましたか?
これまで出演してきた舞台では“発散系”の役が多かったんです。今回の音のような内に秘めたものがあるような女の子を演じたことは今までなかったので、私にこの子を演じられるんだろうかと、台本のページをめくるたびに思っていました。一緒に姉妹役を演じる吹越ともみさん、田中美晴さんと家族のような関係が築けるかどうかもすごく緊張していました。
――撮影に臨んだ時の心境は?
撮影前に本読みをしたんですが、そこで初めて姉妹役の3人で顔を合わせて、監督もいらして。その時に「この二人がお姉ちゃんでいてくれるんだ」とうれしくなって、帰り道にすごくウキウキしていたのを覚えています。「私はすごくうれしい」って、その時の気持ちをメモにも残していました(笑)。
撮影期間中はキャスト全員で岡山に泊まって、二人のことはお姉ちゃんと呼ばせてもらいました。私も「音」と役名で呼んでもらっていたので、本当に家族みたいでした。お姉ちゃん二人だけじゃなくて、撮影現場の全員が家族のような感覚でお芝居に臨めたので良かったです。
「とおいらいめい」はすごく描写が細かくて、お芝居をしていて「これは感情を一つ見逃しただけで、音という役を作れなくなってしまう」と思いました。舞台だと1カ月くらいの稽古期間で役を固めて、お芝居を作っていくんですけど、映像は撮影が始まるまでに自分の中で役を作っていって、「よーい、アクション!」でみんなに見せる、という感じだったんです。だから、私自身の中で“音像”を作り上げていかないといけないなと思いました。
例えば、ふと私がコップか何かを手に取った時に「これは音じゃない」と違和感を覚えたことがあったんです。じゃあ音はどうやって持つんだろう、と。両手で持つのか、そうじゃないのか。歩き方だったりかばんの持ち方だったり、日常のさまざまな仕草で「これは音じゃない」とか「これは音な感じがする」というふうに、“自分の音”というのを固めていきました。
自分を音と思って生活していると、だんだんそれがなじんできて、普段からそういう歩き方になったりしていたので、高石あかりとしてじゃなく音として生活できていた感じがします。