曺さんたちはSNSでファンとコミュニケーションをとっていく中で、もっと継続的にファンへアプローチできる場が欲しい、関係を築いて深めたいという気持ちが強まってきたという。そこで2021年10月に双方向的コミュニケーションの場として「テレ東ファン支局」を開設した。
2022年5月には登録者数が1.5万人を超えたファン支局。これまで会員が大きく増加したタイミングは、2021年末にテレ東人気番組にまつわる小道具などのプレゼントキャンペーンを行った際や、町田啓太主演の「僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!」放送時にプロデューサーが執筆した裏話記事が人気を集めた際、人気ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」の劇場版公開に先駆けて、プロデューサーへの質問募集が盛り上がった際などだという。テレ東の人気コンテンツを絡めたアプローチが効果的のようだ。
ファン支局の中心となる運営スタッフは曺さんを含め数名。専属の人間はおらず、全員がメイン業務と兼務で運営にあたっている。
「実際にコンテンツを執筆するのは主に制作部やアナウンス部のメンバーなので、企画を考えてオファーし、投稿の形に整えるのが仕事。企画内容は、今までやってないことはあるかな…とスタッフみんなで頭をひねっています。たとえば『テレ東音楽祭』のセットについて美術担当に聞いた記事は、過去にセットができるまでの早回し動画をTwitterに投稿したらたくさん見ていただけたことがきっかけ。うちのセットだから、お金をかけて豪華にしているはずはない。きっと大道具さんや小道具さんの工夫があふれているはず!と思ってインタビューしてみたら、ものすごく面白かったんです」
曺さんの本業はマーケティング部でのデータ分析。そのためデータに基づいたPDCAサイクルが回っていることもファン支局の強みだ。
「思いついた企画でどんどん記事を作り、反響をレビューしてよかった要素を残しています。またファンの方の動向を分析して、たとえばファン支局内で最初に投稿したコメントにリアクションが多くついた方ほど、その後も高い熱量で発信してくれるとわかったので、スタッフ皆で真摯にリアクションするようにしています。そもそも私自身は、本来こういったコミュニティで積極的に発信するタイプの人間ではないので、投稿しない方の気持ちもよくわかるんですよね。だからコメントのお題を出してみたり、特定の番組について募ってみたり…投稿のハードルを下げるためにいろんな小技を工夫しています(笑)」
ユーザーが自由に投稿できるシステムのファン支局。運営に苦労はないのだろうか。
「幸い、今まで大きく場が荒れたことはありません。視聴者が自由にコメントを書き込める自社サービスというのは今まであまり例がなかったので、立ち上げ時には心配の声もありましたが、『テレ東ファン』が前提になっているためか温かいコメントが非常に多いです。またファン支局のスタッフが共通の『中の人』ではなく、それぞれ個人として書き込んでいるので、人対人のコミュニケーションになっているのもいいのかもしれません。あと、テレ東のファンの方はみんな性格がいいんだなと思いました(笑)」
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