「テレ東のファンは性格がいい」“ファンの顔が見えるマスメディア”を実現する『テレ東ファン支局』の取り組みとは

ファン全体の熱量をアップ、“ファンの顔が見えるマスメディア”へ

テレ東ファンに便利、1週間のタイムテーブル(C)テレビ東京


ファン支局は登録無料で、特に追加課金が発生するコンテンツはなく、イベントなども抽選はあるが無料で参加可能だ。マネタイズは度外視しているように見えるが、曺さんたちがファン支局で目指す目標とは何なのか。

「会社には『テレ東ファン全体の熱量をアップします』という説明で始めました。ファンの方ひとりひとりの熱量を高めることと、ファンの人数を増やすこと、その掛け合わせで全体の熱量が増えますよね。ファン支局は直接販促を行う組織ではないですが、熱量が増えれば結果的にコンテンツ視聴量やグッズ購入量の増加につながると考えています。実際、定期ユーザーアンケートの結果を見ると、ファン支局の登録期間が長い方ほどNPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客の継続利用意向を知るための指標)が髙かったり、視聴量も増えている傾向があります」

テレ東の人気キャラ「ナナナ」もファン支局で活躍(C)テレビ東京


ユーザーへの効果だけではなく、テレ東社員への効果もある。

「ファンミーティングは今までに7回開催しましたが、そのたびに色々な部署を巻き込んでいるので、テレ東社員の中にも「ファン像」の共通イメージができてきたと感じます。調査で得られる単なるペルソナとは違い、人格や人物像が浮かび上がって、ひとりひとりの顔が見える。私たち自身、熱心なファンの方については覚えているので、コメントを見たらあの方だな、と顔が浮かびます。マーケティング的に見ても、今はマス広告の効果が弱まり、熱心なファンによるオススメが効果的な宣伝手段のひとつと言われていますが、テレ東ファンの方々は本当に周りの方を巻き込んでくれるんです。それでファンコミュニティがひとりでに拡大していく。本当に嬉しいし、ありがたいことだなと感じています」

“ファンの顔が見えるマスメディア”というテレ東の独自性を実現しつつあるファン支局。最後に、これからファン支局でやっていきたいことを聞いた。

「ファンの方と一緒に、もっといろんなことをやりたいです。双方向でコミュニケーションするというところまでは行けたので、次はコンテンツ、イベント、グッズなどの内容にもファンの声を生かしていけないか。過去には番組のファンミーティングを開催して、そこで出た声を番組制作に反映したら視聴率が少し上がったという事例もあったりするんです。どのように組み込むかのハードルは高いですが、チャレンジしていきたいなと思います」