逢坂良太、“働く”ことへの意識「自分が楽しんでやらないと駄目だろうなと思っています」

逢坂良太にインタビューを行った  撮影:永田正雄

和ヶ原聡司のライトノベル作品「はたらく魔王さま!」のテレビアニメ第2弾「はたらく魔王さま!!」が、9年ぶりに地上波放送中。主人公・魔王サタン/真奥貞夫を演じる逢坂良太ら主要キャストが第1期から継続ということもあり、演じる声優陣もキャラクターも息ぴったり。今回“チーム魔王さま”の中心に位置する逢坂にインタビューを行い、9年ぶりに帰ってきた本作へかける思いや仲良しの共演者陣との関係性、第1期からの9年間の変化について、そして逢坂にとって“働く”ということへの意識について語ってもらった。

同アニメの原作は、シリーズ累計発行部数350万部を突破したファンタジー作品。勇者に破れ、異世界エンテ・イスラから現代日本の東京にやってきた魔王サタンが、日本経済の荒波にもまれながらフリーターとして働く。第1期は2013年4月から6月にかけて放送され、第2期は地上波での放送(毎週木曜夜11:30-深夜0:00ほか、TOKYO MXほか)の他、動画配信サービス・ディズニープラスでは地上波同時、見放題独占配信中だ。

続編決定は「うれしさよりも驚きの方が強かった」


――9年ぶりの第2期ということで、あらためて復活への思いをお聞かせください。

決まった時は、うれしさよりも驚きの方が強かったですね。5年過ぎたらもうほぼ続編は絶望的みたいなイメージですが、9年ぶりに第2期が始まったんですから。当時の感じに戻れるのかどうかという不安も当初はありましたが、今の自分だからできる表現をしっかりやっていこうと割り切って収録を始めた感じです。

――第1期が終了してからも、キャストの皆さんの交流は続いていたそうですね。

「魔王さま」のLINEグループがあるんですけど、そこでも「第2期が決まったね!」みたいな感じで、すごく盛り上がりました。みんなとまたこの「魔王さま」の現場で会えるのはうれしかったですし、オンエアがまた始まるのはすごく楽しいですね。

――逢坂さんが「つり球」で初主演なさったのが2012年。その翌年に「はたらく魔王さま!」が始まりました。

そうですね。割と新人の頃、まだ右も左も分からない状態のときにメインでやらせていただいた作品です。頂いた仕事を、今でもそうなんですけど、全力でやるしかないというのがすべてでした。

全力を注いで、もう今日死んでもいいやぐらいの…若いからこそ思えたような、若いからこその表現もありましたから。

――無我夢中で魔王サタン/真奥貞夫を演じていらしたんですね。

当時の現場は結構緊張感のある座組が多かったんですが、「魔王さま」はそれだけじゃなくて、似たような年齢の人たちも集まり、わいわいしながら、でも真面目に取り組むときはちゃんと取り組むという雰囲気もありました。

気分としては中学生みたいな感じですよ。バカみたいなことばっかりやって、アドリブも好き勝手に入れて。でもそれが許される雰囲気の現場というか、持って来たものをとりあえず全部やってみようぜ!という感じの楽しさがあり、ある意味、成長の場でもありました。今回の収録でも思っているんですが、(共演者は)本当に気の置けない仲間たち、言葉ではちょっと説明できない関係ですね。

でもよく考えてみたら正直、僕と東山(奈央)さん以外はみんな芸歴的には先輩なんですよ。年上であり、先輩でありみたいな感じだったので。それでもあの雰囲気になったのは、先輩の包容力が大きかったからだと思います。今も下野紘さん以外はタメ語で話している仲なんで(笑)。なんか、年齢の垣根を越えた感じがいいですよね。

新しく入った木野日菜ちゃんも割とすんなりなじんでくれていますし、アラス・ラムス役ということもあって、ある意味ちょっと娘みたいな部分に見えちゃう部分もあって。みんなで集まって特番をした時(「地上波!ただいま、魔王さま~!」)、結構鋭い人だという印象を受けたので。めちゃくちゃ面白いし、またちょっと違うタイプの人が来て刺激的だなと思っています。

9年の時を経て「『丸くなったね』って(笑)」


――声の出し方やテンションなど、第1期と比べて意図的に変えていることは?

普段の収録では全然意識してないんですけど、年齢を重ねることによって、低いトーンが自然に出るようになったところはあります。より幅広い表現ができるようになったのかなと思います。

――第1期と第2期の間にプライベートではお子さんも生まれて“ぱぱ”になりましたが、心境の部分で変化は?

自分ではよく分からないんですけど、日笠さんによく言われるのは「丸くなったね」って(笑)。僕って基本的に短気な人間で毒が強くて、ナイフのような一言をつい言っちゃうんです。でも、自分では気付かないところで丸くなった部分があるのかもしれません。

父親としては、やっぱり子どもはかわいいし、もちろん愛情は注いでいる自負はありますけど、今でもゲームをやっていてすぐキレるし、根本的には変わっていないのかも(笑)。