人類とプレデターの“最初の戦い”…生き延びるために強くなる主人公のリアルな姿に共感<プレデター:ザ・プレイ>

2022/08/05 11:15 配信

映画 レビュー

「プレデター:ザ・プレイ」の主人公・ナル(アンバー・ミッドサンダー) (C)2022 20th Century Studios

1987年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の第1作「プレデター」から始まった「プレデター」シリーズ。エイリアンとの対決を描いたクロスオーバー作品も含めて、これまで6作品が公開され、世界中でカルト的な人気を誇っている。最新作である「プレデター:ザ・プレイ」は、時系列的には第1作よりもはるか昔が舞台で、人類とプレデターの“最初の戦い”を描いた物語となっている。プレデターとの戦い方においても原始的で、アクションシーンは生々しい迫力があり、主人公・ナルの姿を通して、よりリアルにプレデターの恐怖を味わうことができる。(以下、ネタバレを含みます)

最新作にして“始まりの物語”


プレデター」シリーズは、高度な科学技術を駆使した武器を持つ“宇宙で最も危険な戦士”プレデターと人類との攻防が描かれ、作品ごとに新しい要素を取り入れてアップデートしてきた。

第1作から光学迷彩で姿を消すという“見えない恐怖”を人類に与え、第2作「プレデター2」ではレーザー光線で標的を撃ち抜く“ショルダー・プラズマキャノン”が登場。その後も、鋭い刃がついた切断兵器“レイザー・ディスク”など、プレデターの装備も進化している。

“試練の狩り”の意味


8月5日にディズニープラスのコンテンツブランド「スター」で配信のシリーズ最新作「プレデター:ザ・プレイ」の舞台は、300年前のアメリカであり、主人公はネイティブ・アメリカン最強部族の女性“ナル”。

戦闘技術に長けた部族の中で育った彼女が、仲間たちと共にライオン狩りに出掛けるという場面。駆け出しのナルにとって、これは“試練の狩り”であり、クリアして仲間に認めてもらいたいという気持ちが強かったのだが、狩ることはできなかった。

それでも、無理をしてでも成し遂げようとするナルは「(試練の狩りは)狩りの腕を証明するのではなく、生き延びること」と諭される。これまでのシリーズでも、プレデターとの対決では倒すだけが選択肢ではなく、“生き延びる”ことが重要になっていた。

それゆえに、ナルが試練の狩りに行く場面で兄・タエベ(ダコタ・ビーバーズ)がかけた言葉が「ライオンに思い知らせてやれ『お前が生きてられるのは、ここまでだ』とな」というセリフだ。この言葉は、クライマックスシーンでも重要なキーワードとして効いてくる。

狩りに出たナルは巨大な足跡を発見するが、それはクマのものではないと気付く。仲間にそれをアピールしても、誰も信じてはくれない。単独行動をした時にプレデターと初遭遇し、“見えない敵”の出現と見たことのない攻撃の衝撃は、第1作を見た時と同じような感覚を味わえた。舞台は1700年代のアメリカということで、武器は弓矢や手斧といった原始的なものしかなく、高度な科学技術によって生み出されたプレデターの武器とは比べ物にならないぐらい頼りなく感じる。

しかも、プレデターは大きなクマも軽々と持ち上げるほどの怪力。人類は“生きるため”に狩りをしているが、プレデターは“狩りをするため”に生きている。ナルは知恵を使い、地の利を味方に戦いを挑むが、プレデターを狙う別の集団(人類側)という敵も現れ、一時はプレデターをおびき寄せるための生け贄にされてしまうなど、混沌とした中で物語が展開していく。