コロナ禍で変化するファンクラブの在り方 タレントとファンの双方向コミュニケーションの場へ

「その場にいること自体が楽しい」ファンコミュニティという場所の価値

「Fanicon」が提唱する「ファンコミュニティ」の在り方(C)THECOO株式会社


もう一社、コロナ禍において大幅な成長をとげている「Fanicon」を運営するTHECOO株式会社代表取締役CEOの平良真人氏にも話を聞いた。2017年12月にサービスを開始し、コロナ禍でも俳優やアーティスト、インフルエンサーなど多様な利用者が増加、年間成長率は2021年度で130%超となっている。

Faniconはファンクラブではなく「会員制ファンコミュニティプラットフォーム」と打ち出し、アイコン(=タレントなど)とファンの、またファン同士のコミュニケーションを軸にサービス設計をしている。1つのプラットフォーム内で、用意されている様々な機能から自由に使いたいものを選び自身のコミュニティを設計することが可能だ。たとえばファンと適度な距離感を保ちたい場合は、Facebookのタイムラインのような「シーン投稿」機能で動画や写真の投稿のみを行い、ファンとの距離感を近づけたい場合は、LINEのグループチャットのような「グルチャ」機能に本人も参加してファンと交流するなど、求めるコミュニケーションのあり方をヒアリングして機能や使い方を提案しているという。

「『ファンコミュニティ』とは、その場にいること自体に価値があり、楽しい場所を提供するということです。『いいね』する行為自体を課金制にして回数上限をなくしたり、細かな設計をたくさん行い、コミュニティでの体験の楽しさを感じてもらえるよう工夫している。行きつけの飲み屋で飲むのと家で飲むのは、同じお酒でも違うでしょう。場や体験にお金を払うという感覚です」(平良氏)

ユーザーが場に対して愛着を持つことで退会を防げる。さらにコミュニティ内での行動を課金制とすることで、ユーザーに課金動機が生まれやすく、他プラットフォームと比較して高い収益性を実現できる仕組みだ。

さらにオンラインで展開されるファンコミュニティの強みのひとつは、時間と場所を超えてつながっていけることでもある。

「たとえば友達がいなかったひきこもりのユーザーが、ファンコミュニティの中で友達ができたことで学校に行くようになったという事例がありました。コロナ下で孤独を感じる人が増え、どこかのコミュニティに所属していることが心の支えになる。またアイコン(タレント)側も、イベントができずファンに直接会えない中で、ファンコミュニティがあることが心の支えになったという声も聞きます」(平良氏)