コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介する作品は、Twitterに投稿された『グラインド委員長』だ。作品がツイートされると瞬く間に拡散され、5900件以上のリツイートと2万8000件を超えるいいねが寄せられた。個性的な絵柄の同作は25ページの短編作品で、テンポの良さと明確なメッセージ性が魅力だ。今回は、作者であるゲンキダウンさんに、作品へのこだわりや創作の裏側を伺った。
ストーリーは見た目も地味で大人しい、いかにも“真面目”なクラス委員長の女子生徒が同じクラスの派手な女子たちに小馬鹿にされながら過ごしている様子から始まり、“委員長の意外な趣味”を軸に展開していく。
そんな委員長だったが、グラインドコアというかなり激しめの音楽をたしなむという意外な趣味が。エネルギッシュなライブを堪能したある日の帰り道、冒頭の派手なクラスメイトが男性に絡まれている場面に遭遇する。趣味がバレることをためらいつつ、助けに入った委員長。クラスメイトはすぐに委員長だと気づいたが、いつもとはまったく雰囲気の違う姿に驚きを隠せない。秘密にしてと言う委員長に対し、「その代わり、どんなジャンル聴いてるか教えて」と提案するクラスメイト。「好きなら堂々とするべきよ」とクラスメイトは馬鹿にすることなく笑いかけるのだった。
内容・絵柄・メッセージ性の絶妙なバランスで多くのユーザーを惹き込んだ同作。作品を投稿したツイートには、「好きなものは好きで良い」という作品のメッセージになぞらえて、「好き!」とリプライするユーザーが続出した。なかには、「学生時代の自分まんまだwww」「友人の反応とかこんな感じだったな」と自身の学生時代を重ねる人や、作中に出てくるバンドのオマージュ元に気付いて反応する人も現れ、盛り上がりを見せた。
――『クラスの地味な委員長の趣味が意外だった漫画』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
数年前にTwitterに投稿した『地味で真面目そうな委員長の趣味がメタルを聴く事だった』という4コマ漫画が下地になっています。もともと私自身グラインドコアが大好きなので題材にして漫画を描けないかと思い、旧作の設定を変える形で再構成しました。ちなみに旧作で委員長が聴いていたのは、グラインドコアではなくスラッシュメタルというジャンルでした。1本の4コマ漫画を20ページの漫画に膨らませるのは思ったより大変でしたね。
――委員長が観に行った「ツイスト・ザ・ナイフ」のライブシーンにモデルなどがあれば教えてください。
会場は大阪のクラブSTOMPというライブハウスがモデルになっています。キャラクターのモデルにさせていただいたのが滋賀のBY-PASSというハードコア・パンクバンドのヴォーカルをしているエツシさんです。このキャラクターは名前を緑路というのですが、イギリスのグラインドコアバンドNapalmDeathのヴォーカルのマーク“バーニー”グリーンウェイから取っています。「ツイスト・ザ・ナイフ」というバンド名もNapalmDeathの曲名からです。
――作品を描くうえでこだわった点や、「特に伝えたい」ポイントがあればお教えください。
グラインドコアというアンダーグラウンドなジャンルを漫画にするにあたり、グラインドコアを知らない読者の方に向けて、いかに簡潔に分かりやすく説明するかという所にこだわりました。説明を蔑ろには出来ませんが、長々と説明すると作品のテンポが悪くなりますので。グラインドコアというジャンルがあって、こんな風に楽しんでいる人たちがいるんだなというのが伝われば良いなと思って描きました。それから、読後感を良くしたかったので基本的に悪い人を出さなかったのもこだわったポイントです。
――『クラスの地味な委員長の趣味が意外だった漫画』の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
一番描いていて楽しかったのはライブのシーンです。あそこはセリフなしで勢いのまま描こうと最初に決めており、それを拙いながらも何とか形に出来たので良かったと思います。ライブを笑顔で楽しむ客やバンドのエクストリームなサウンドを漫画で描けて楽しかったです。
――今後の展望や目標をお教えください。
これからも沢山の漫画を描いて多くの方に読んでいただきたいので、今後の目標は商業デビューです。同時に、今やっている同作品の発表も楽しくやっていきたいと考えています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。これからもちょっと変わった、クスクス笑える日常系漫画を描いて行きますので、またチェックしていただければ幸いです。
自分の“好き”を発信するのは勇気がいるもの。しかし友達などに話してみることで、世界が広がるケースも多いはずだ。自分にとって大事なものであれば、恐れずに一歩踏み出してみるのもいいかもしれない。
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