9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎「この曲はバンド演奏で、2022年の音だな。9mmというバンドの曲なんだな」と分かってもらえる作品ができました

2022/08/24 12:01 配信

音楽 インタビュー

9mm Parabellum Bullet・ボーカル&ギター菅原卓郎   撮影=大石隼土


「歌い出しは“さよなら”という言葉以外にないな」と感じた


――歌詞によって曲の中の主人公が「僕」と「俺」のケースがあります。一人称はどう使い分けていますか?

菅原:僕は歌詞を書くときは、「9mmの菅原さんに歌ってもらう」という感覚で書くんです。なので、この曲を菅原さんが歌うなら「僕」かなとか、そういう感じで選んでいきます。激しい曲だからと言って俺とは限らないし、僕だからより伝わることもある。自分にオーダーするのが、作詞ではうまくいくししっくりくる感覚があります。

――ほかに、歌詞を書く時のマイルールはありますか?

菅原:メロディーのイントネーションに合うように、言葉を選んでいます。「淡雪」は、メロディーを聞いたときに、「歌い出しは“さよなら”という言葉以外にないな」と感じた。世の中に、さよならで始まる曲はたくさんあるけど、それ以外はあり得ないと思いました。
 サビが終わった後のサウンド感も、雪が降っているイメージがあったので、そこもさよならという言葉がいいなと直感的に思いました。実は、9mmのバラードや聴かせる曲には、雪が降るものが多いので、「また雪が降っちゃうな」とも思ったんです。だから、そこに変化を持たせようとして、僕の出身地・山形では春先に雪が降ることもあるので、冬ではなく春先の歌にしようと思いました。歌詞にもあるように、言えなかった言葉が代わりに雪になって降るけど、でもすぐに溶けてしまう…。それは美しい物語だなと思いました。

――歌詞を書き始めると一気に書き上げていくことが多いのでしょうか?

菅原:悩むことはできるだけ避け、考えるようにしています。「淡雪」で、1番がフワリで、2番がシュワリと歌っている部分を、例えば、ザラリにしたら全然ぐっと来ない歌詞だと思うんです(笑)。「何か、進まないな、書けないな」と思うときは、前提が間違っていたり、イメージを同時に2つも3つもいれようとしているんですよね。イメージがあるのにうまく進まないときは、はっきりしているところまで戻る。間違っていると思ったら戻ることが大事だなと思います。

――儚くて美しい曲ですね。そうした曲がある一方、「泡沫」の「どこまでも沈めてくれ」という歌い出しはかなり重厚でインパクトがあるなと感じました。

菅原:この「泡沫」は、昨年のツアーで「BABEL」再現ライブをするのに向けて作った曲です。ライブに足を運んでくれる人たちに、チケットに新しいCDをつけて贈りたいなと思って。
曲によっては、苦境にあって、ポジティブに乗り越えるぞというのではなく、暗さのままを表現して、それを逆にセラピーにするというか。そういう表現も必要だと僕らは思っているし、元気になる方法が1つでなくていい。何かの役に立てばいいなと思います。

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