堂島孝平「いい意味で肩の力が抜けて、ミュージシャンとして、シンガー・ソングライターとして、一番いい状態かもしれない」

2022/08/25 12:00 配信

音楽 インタビュー

堂島孝平の2年9ヵ月ぶりのニューアルバム『FIT(フィット)』が発売中。極上のポップミュージックを紡ぎ出す彼の真骨頂と、デビュー27年目にして初の“挑戦”が込められたという一枚だ。

アルバム『FIT』が発売中の堂島孝平   撮影=大石隼土

自分にとって未知のものと出会う一つの方法として作詞を依頼した


「自分の作る音楽を、自分にとって新しい形でアップデートしたい…という思いから制作は始まりました。今こういう音楽があったらモダンで楽しいかな、もしくは沁みるかなというのを考えつつ、それが一枚の作品になったときに自分が作ってきたポップミュージックのいい変化になるようなものができたらなと。今回、自分の作品で初めて作詞を別のアーティストの方に依頼するという試みをしたのですが、それも“変化”を狙ってのこと。自分の音楽の鮮度みたいなものは普段から大事だと思っていて、このタイミングで、今までのスタイルに囚われないやり方に挑戦してみようと思ったんです」

これまでTVやCMの音楽などで“共作”はあれど、作詞を完全に依頼するのは初。迷いはなかったのだろうか。

「自分にとって気持ちのいい音楽を今までずっと突き詰めてきて、その経験則の分だけアプローチの仕方も僕は持っていると思います。でもそこを一度離れて、今まであまり歌ってこなかった内容や使ってこなかった言葉を表現してみたいと今回強く思ったんですよね。自分にとって未知のものと出会う一つの方法として作詞を依頼して、作品の深みが増したり、これは新しい!と自分が喜べるようなものが生まれたら…という思いで、昔から信頼するお2人に(坂本真綾土岐麻子)にお声を掛けさせていただきました」

それぞれのアーティストとは、長い付き合いの中でリスペクトを抱いてきたと話す。

坂本真綾さんとは知り合って10年弱くらい。でもその前から同時代にずっと音楽をやってこられている方という感覚はあって、近年では真綾さんの作品に僕が楽曲提供したり、彼女のコンセプトアルバムに参加させていただいたりという関係を築いてきていたんです。お互い、異なる表現の持ち場で磨かれてきたものがきっとあって、それを一緒にやるのがすごく楽しい相手です。一方の土岐ちゃんはもう20年以上の付き合い。彼女も、最近また注目を浴びている“シティポップ”というもののアイコン的存在だと思うんですけど、お互いに80‛sくらいのシンガーソングライターが作るニューミュージックやシティポップが大好きで、いろいろシンクロする部分が多いんです。お2人ともシンガーとしてももちろん素晴らしいけど、僕は作詞家としても大好きなので、どんな作品がいただけるか楽しみでしたね」