「魔法のリノベ」における間宮祥太朗“玄之介”の『解放』 弱さを認め前に進む姿を繊細に描く

2022/08/29 17:00 配信

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「魔法のリノベ」第2話より (C)カンテレ

波瑠が主演を務める主演の“月10ドラマ”「魔法のリノベ」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)は、「まるふく工務店」で働く小梅(波瑠)と玄之介(間宮祥太朗)のバディが、住宅リノベ提案という“魔法”で依頼人が抱える問題を解決し、人生を後押ししていく“人生再生リノベーションお仕事ドラマ”。そして同時に作中では、玄之介自身が小梅との出会いを通じて成長し自己を解放していく姿、2人の距離が縮まっていく様子も丁寧に描かれている。後半戦に突入し、ますます盛り上がりを見せる作品の魅力に迫る。(以下、ネタバレがあります)

初回の営業先で指摘される玄之介の未熟さ


現在放送されている「魔法のリノベ」は、「家のリノベーションは人生のリノベーションでもある」というセリフもあるくらいで、住宅のリノベーションを通してさまざまな家族の問題を解決していくという「お仕事ドラマ」である。それだけでなく、凸凹営業コンビがバディになり、そしてほのかに好意を寄せていく姿も描かれているから、恋愛要素も大いに含まれている。

主人公は、大手リフォーム会社から個人経営の工務店に転職してきた真行寺小梅(波瑠)。彼女が働くことになった「まるふく工務店」の社長の長男で、営業の福山玄之介(間宮祥太朗)は、バツ2で7歳の息子・新之介と暮らすシングルファーザーだ。しかし押しの弱い性格で、小梅が入ってくるまで一度も成約にこぎつけたことがなかった。

対して小梅は、大手での経験も豊かで、依頼主の状況や、なかなか言い出せないでいる本当の希望を観察して読み取り、最適な形で成約に持ち込むことができる有能な営業担当である。前の職場でもトップクラスの成績をあげていた。

ふたりがタッグを組むことになり、初めて向かった営業先で、玄之介の未熟さが露呈してしまう。ある中年夫婦から古い家を改装したいと相談を受けるが、あろうことか玄之介は、夫にだけ自分の名刺を渡し、妻には台所リノベのパンフレットを手渡すのだった。

小梅は帰り道、玄之介に向かって「0点です。話になりません。地雷、ずっと踏んでましたよ。地雷だけを踏んで歩いてましたよ」と言い、名刺を妻に渡さなかったこと、キッチンの話題を妻にだけふったことを忖度なく指摘する。夫婦の役割をテンプレで考えているのでは営業として成り立たないと、はっきりと玄之介に叩き込んでいた。

「魔法のリノベ」第1話より (C)カンテレ


玄之介の良さとはどんなところ?


序盤では、こんな玄之介と恋愛関係になるのは難しいと考える人が多いかもしれない。では、玄之介の良さとはどんなところだろうか。

その場合に「やさしすぎるところ」を挙げる人は多いだろう。しかしそれ以上に、小梅がどんなに厳しく指摘をしても、きちんと真に受け、自分で考えた上でそれを直していける点が大きいように思える。小梅に指摘された後の玄之介は、自分には人の心を読むことが苦手で鈍感なところがあると認めて、じっくり依頼主のことを見て考えるようになる。

逆に「やさしすぎるところ」は、彼のウィークポイントでもあった。「やさしすぎる」ばかりに、元妻を実の弟の寅之介(落合モトキ)に奪われたことや、その弟が不動産屋に就職し、まるふく工務店の邪魔をしてくることに対しても怒れないでいた。

工務店でトラブルがあったときにも、ただ謝ることで解決しようとするところもある。そんな玄之介は、ときに「詫びの玄」と呼ばれることもあった。

もちろん、単に「詫びる」だけでいいわけではないことも小梅は知っている。そのときも玄之介は「その場を丸く収めることばっかり考えて、見失っていました」と反省できる。

そして、いつでも思ったことをきっぱり言えて、怒るときには怒れる小梅との出会いを通じて、玄之介がきちっと自分の思いを弟に伝えられるようになっていく姿が、このドラマの中盤の見どころにもなっていた。

「魔法のリノベ」第5話より (C)カンテレ


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