――2019年からは「BSフジLIVE プライムニュース」の木曜・金曜キャスターを務められていますが、情報番組から本格的な報道番組へと、大きなターニングポイントになったのではないでしょうか。
いつか報道に携わりたいという思いは最初からありました。事務所にもその思いは伝えていましたし、「めざましどうようび」のMCをやらせていただいていたときに、ニュースを伝えるにあたって「できるだけ現場に行きたいです」というリクエストも出していました。だから、「プライムニュース」のお話をいただいたときは嬉しかったですね。ただ、「意外だね」ということは周りの方々からたくさん言われましたね。
――“めざまし”を長くやられていたのでイメージが強かったからでしょうか。
そうだと思います。自分の中では、延長線上という感じだったのですが。でも、もしギャップを感じていただいているなら、私が昔「週刊こどもニュース」を見てニュースに興味を持ったように、私が報道番組に出ていることで、“入口”と言ったらおこがましいですけど、報道は堅いもの、遠いものではなく、もっと身近に引き寄せられるような、そんな存在になれたらすごくうれしいですね。
――報道番組を始めて、気づいたことや感じたことは?
お話をいただいて、すごく光栄ですし、「楽しみ! 絶対やってみたい!」と高揚し、迷うことなく一瞬でお返事させていただいたのですが、それと同時に、「プライムニュース」という番組の専門性を考えると、すごく難しいことだなと思って、私で役に立てるだろうか、という思いはすごくありました。そして、いざ始めてみると、すごく凹みました。自分の圧倒的な知識量のなさに幻滅したり、話題に全くついていけなかったり…。それは現在もあるのですが、最初の頃はくじけるというか、もう粉々になる感覚でした。
――どのような部分で一番感じましたか?
私が役割としていただいてるのは、まず事情を説明して一の矢を投げる、というところです。あとは(キャスターの)反町理さん(フジテレビ報道局解説委員長)たちが回してくださるのですが、「長野さんは自分の思ったことをどんどん質問していいから」と言っていただいていて。生放送で、政治家や専門家の方に聞きたいことを聞ける、それってすごいことだなと思いつつ、そこでぜひ自分なりの質問がしたい、というところが私のハードルなんです。それは最低限の知識があって、基本を理解していてこそできることなのですが、恥ずかしながら最初はそこまで行っていなくて。質問したはいいけど、時間を無駄に使ってしまったなとか、恥ずかしいなとか、そういう思いをいっぱいして。帰り道に泣いたこともありました。
――それはどのように克服したのでしょうか。
あるときから、自分から積極的に情報を取りに行くようになったんです。1週間で10時間ぐらいはそれに費やすようにしたら、質問が1、2個できるようになったんです。その時間を倍にしたら3、4個できるかと言えば、そう単純ではないと思うのですが、自分から情報をどれだけ取りに行けるか、それがすごく重要なことだと感じています。
――キャスターを務められて今年で3年になります。今、改めて思うことはありますか。
ニュースの原稿は、背景があって、過程があって、いろんな調整を経てできあがっていますよね。それをアナウンサーが読んでいるのを聞いて「こういうことが起こっているんだ」って思うのですが、私はその裏側を知りたいとずっと思っていて。事が起きているということは、絶対に“原因”があって、それを知ることで対策や予測ができるかもしれない。そこがニュースに対する興味の根源なんです。そういう意味では、「プライムニュース」はドンピシャですし、世界が立体的に見える気がします。だから、すごく面白いです。もちろん、毎日違うテーマで2時間深掘りするという趣旨の番組ですから、今日やったことが明日の役に立たないことも多く、すごく大変でしたが、3年やってきて少しずつ積み重なるものもあって。理解すれば理解するほど、いろんな意見を知りたくなるし、選択肢も知りたくなる。そういう連続で、すごく楽しくできた3年間だった気がしますね。
――報道は生ものですし、日々国内外でいろんなことが起こり、変わっていきますよね。
そうなんです。私は番組を始めて1年しないうちにコロナ禍になりましたし、ロシアのウクライナ侵攻も始まり、ずっと有事のような状態で。日本でもお給料が上がらないとか生産性が上がらないとか、すごくいろんな問題がありますし、幸せなニュースばかりじゃなく、時代として厳しいことの方が多いと感じています。でも、何かが起きたときに、じゃあ、国はどうするんだろう、政治はどうするんだろう、それに対して国民はどういうリアクションをするんだろう、というのをつぶさに見ることができるので、言い方はなかなか難しいのですが、すごく興味深いことだと感じています。それに、だからこそ“知ることが大事”だ、と。
――知っていると知らないとでは、社会との関わり方も変わってきますね。
例えば、戦争についても、悲しいよね、よくないことだよね、となったとしても、みんなでそれやめさせることすらできないというのも現実です。ただよくないこと、で終わるのではなくて、その先の現実からずっと目を逸らしていられるわけではないと思うんです。やっぱりみんな、この時代に生きているから。「プライムニュース」ではそういったことを掘り下げているので、今起きていることを知ってもらうツールに、もうなっていると思うのですが、私も微力ながら貢献できたらいいなという思いでやらせていただいています。
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