映画「沈黙のパレード」の完成披露試写会舞台あいさつが8月31日に都内で行われ、福山雅治が、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、岡山天音、川床明日香、出口夏希、檀れい、椎名桔平、西谷弘監督と共に登壇した。
本作は、東野圭吾の大人気ミステリー「ガリレオ」シリーズの映画版第3弾。変人だけど天才的頭脳を持つ物理学者・湯川学(福山)、バディ的存在の内海薫(柴咲)、内海の先輩刑事・草薙俊平(北村)が9年ぶりに再集結した。
福山が「やっとご覧になっていただくことができました。感想を聞かせていただきたいと思います」とあいさつ。柴咲が「皆さん、映画をご覧になった後ということで、映画の話を惜しみなくみんなとできるかなと思っております」と話したように、上映後の舞台あいさつということで、キャスト全員で作品のいろんなシーンに触れながら、撮影時のエピソードなどを語った。
ただ、観客が声を出せない昨今の状況を踏まえ、福山が「拍手で答えていただいていいですか」と提案し、いくつかの質問に観客が拍手で答える場面も。福山は「僕はコロナ禍でずっと声出しができないライブをやってきたので、拍手にも表情があるってことが分かっていますから」と、言葉ではなくても思いを受け取っていると伝えた。
今回、登壇したキャストの中で、川床と出口は20歳。出口が「あんな名ぜりふを叫べるとは思っていなかったのでうれしかったです」と言って、「実におもしろーい!」と再現。それを聞いた福山は「実によかったですね」と笑顔を見せ、「20歳になっていますけど、撮影していた時は10代だったよね。若い世代の人たちがガリレオの世界に入ってきてくれて、そういうふうに役を生きる実感をこの作品で持ってくれたということはうれしいですし、長くやってきてよかったなって思います。(始まった頃は)5歳とか6歳ですから。もう『渡る世間』になっていくしかないですよね」と、シリーズがさらに長く続くことを望んだ。
最後は、福山が「15年という長き時間にわたってこの作品に携われていることが幸せだと思っています。ただ、これは映画ですけど、理不尽な暴力による突然の死であるとか、予想もしていなかった悲しい出来事が人生には起こるということを生きていると気付きますし、知っていくと思うんです。映画ですから実際にあった話とは違いますが、でもあまりにも突然に訪れる悲しみ、苦しみがある。僕個人の感想ですけど、どちらかというと苦しみの方が多いのが人生だと思う53歳なんですけども、ある瞬間的な“生きててよかったな”“出会えてよかったな”っていう幸せな瞬間に出会うために、日々の苦しいことを乗り越えて生きていくんだろうなと思っています』と思いを吐露。
「そういうものが『沈黙のパレード』に描かれています。人生という旅…、皆さんの旅がどうか幸せな旅になることを願いながらこの作品を作りました。映画自体はハッピーエンドじゃないかもしれませんが、この映画を通じて少しでも“エンターテインメントっていいな”って思ってもらえるような時間にできる作品になっていると自負しております。引き続き、この作品を愛していただければと思っております」というメッセージで舞台あいさつを締めくくった。
映画「沈黙のパレード」は9月16日(金)より全国公開。
◆取材・文=田中隆信