この作品がヒットした要因は、幼なじみのすれ違いラブにやきもきする脚本の面白さはもちろん、“ラブコメ女王”ファン・ジョンウムのイヤミのない自然なコミカル演技も見ていて楽しいし、パク・ソジュンのツンデレキャラにもドキドキできる。
つい感情移入してしまう豊かな人物描写も魅力。例えば、ヘジンがソンジュンに「私のどこが気に入らないのか?」と尋ねたとき、彼女への不満をいくつも挙げた後、「何より名前が“キム・ヘジン”なのが気に入らない。君にはもったいない」と言い放つシーンがあるが、ヘジンと同じように傷ついたり、逆にソンジュン側に立って、ヘジンの何だかカンにさわる物言いや態度にイラついたり、また、俯瞰の目線で「彼女が本当の“キム・ヘジン”なのに!」ともどかしく感じたり…。いろんな感じ方ができて、何度でも見られるのもポイントだ。
ちなみに、ヘジン(だと思っているハリ)に接するときの優しいソンジュンと、仕事のときの辛らつな言葉で人を傷つけるソンジュン…パク・ソジュンは二重人格に見えないように気をつけて演じたんだそう。彼が冷たい態度をとるのには何か理由があるはず、と考え、ワザとぎこちない感じを出したんだとか。その点にも注意して見てほしい。
主役の2人だけでなく、周りを固める俳優陣の力もドラマの魅力ポイント。特に、ヘジンを想う先輩編集者のシニョクを演じたSUPER JUNIORのチェ・シウォンの好演は大きい。シニョクはヘンテコなところもある飄々とした人物だが、ヘジンを心から想い優しく支える頼りがいのある男性。実際のシウォンも育ちの良さがにじみ出て余裕を感じさせる人柄で、どこかヘンテコ。そんな実際の彼と重なる部分もあるせいか、“いなさそうでいる”とてもリアルなキャラクターを生み出した。
作品を見た女性たちの間では、ヘジンに気づかず冷たい態度ばかりとるソンジュンと、ちょっと変わり者だけど心から想ってくれるシニョク、どっちに魅かれる?という話題が起こり、議論が盛り上がることがよくあるほど、多くの“シニョク派”を生んだ。
シウォンの他にも、“ザ・モスト”のクセすご編集長・キムララ役のベテラン女優・ファン・ソクチョンの個性爆発演技も見ものだ。また、最近では「哲仁王后」や「30だけど17です」など、次々ヒット作の主役を演じているシン・ヘソンが、“ザ・モスト”の編集部員の1人で出演している。
そして、パーティーシーンでは、ソ・イングクやパク・ヒョンシク、イ・ジュンギなど人気スターが本人役で出席しているので、見逃さないように。
パク・ソジュンは、この作品をきっかけに、視聴率が取れる主役俳優の座を確実にした。日本版しか見ていない人は見比べても楽しいし、既に見た人も視点を変えて見直してみるのもオススメ。笑えて、胸がキュッとなって、泣けて…と全てが詰まった極上ラブコメだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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