森七菜「本当に、聴いてくれる人の声が一番の次への活力になっています」

2022/09/09 12:00 配信

音楽 インタビュー

1stアルバム『アルバム』をリリースした森七菜  撮影=大石隼土


『明日笑って過ごせそうです』とか直接言ってもらえると心を揺さぶられる


歌手活動を始めて約2年半。さまざまな出会いと反響を経て、“自分が音楽を届ける意味”が徐々にクリアになってきているのだとか。

「最初は自分の声が嫌だったし、歌うことに苦手意識がありました。今でも得意とは言えないけど、さっきもお話した『スマイル』の存在がやっぱり大きくて。『運動会で流れているよ』とか『「将来はスマイルのお姉さんになりたい」と子供が言っている』という話を聞いたときにちょっとハッとしたんです。誰かの憧れやカリスマになりたいわけじゃないけど、聴いてくれる人の目に輝きを与えたり、その人たちの未来へ向かう一つの道を作れたりするのかなって思ったときにすごくうれしくて。シンプルに子供は元々好きなので、今回、分かりやすく子供向けの曲を入れたりもしたのですが、大人の方からも『明日笑って過ごせそうです』とか直接言ってもらえると心を揺さぶられる。本当に、聴いてくれる人の声が一番の次への活力になっています。私の歌を待ってくれる人がいるなら、その人たちの聴きたいもの、見たいものを作りたいなって気持ちが今すごくあります」

今後も「お芝居と歌を両方やっていきたい」と、しっかりした口調で話す。

「“自分(歌手)”のときの方がすごく恥ずかしいし、こういう取材も照れて言葉が慎重になったりします。でもそれぞれに違う楽しさがあるので、どちらもずっと大事にしていきたいですね。アニメ映画『天気の子』(2019年)で声優をやったときに(ヒロインの天野陽菜役)、新海誠監督が私の声を豊かに育ててくれたんです。当時、不慣れで自信もない私に『森七菜森七菜でいることを心の底から楽しんで喜んで』というような言葉を掛けてくださって、それがすごくうれしかった。“自分は自分にしかなれない”ことをいい意味で受け止めて、それを楽しんで生きられたらいいなと私も思ったし、今までは自分の悪いところばかり見直そうとして苦しかったけど、その過程も含めて楽しめたらいいなって。その言葉のおかげで自分の声が好きになれたという実感がすごくあるし、新海さんは、私の声のお父さんみたいな感じ。本当に感謝しています」

9月末には本アルバムのリリースを記念した初のワンマンライブ「㐂~よろこび~」が決定! 地元の大分、東京で開催される。

「大分はみんな親戚だと思っているので(笑)。いろんな方がいつも温かい応援の声を掛けてくれているので、不思議と緊張はないです。東京は…やっぱりお仕事関係の方も来てくださると思うのでちょっとドキドキ。でもリラックスして、遊びに来てくれた方と一緒に心の底から楽しみたいなと思います」

取材・文=川倉由起子