公開11日間で興行収入10億円を突破するなど、「トップガン マーヴェリック」と並ぶこの夏の大ヒット映画となった「ソー:ラブ&サンダー」。“愛”がテーマの本作の舞台は「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界で、激闘の末に多くの仲間を失い、「もう闘いはこりごりだ。ヒーローも卒業だ」という心境に達した“アベンジャーズBIG3”最後の一人、雷神・ソーが新たなアイデンティティを求める物語だ。
これまで以上にソーの人間(※雷神)臭さが打ち出されていると同時に、ユーモアもたっぷり。ジェーン・フォスター博士(ナタリー・ポートマン)との再会シーンを目の当たりにして、「そう来たか!」と握りこぶしに力を入れたファンは多いはずだ。この映画を見れば誰もが自分とソーの共通点を感じ、いっそうこのキャラクターに親しみを抱きそうだ。そんな本作が9月8日(木)からディズニープラスで配信開始、この機会に主演のクリス・ヘムズワースについておさらいしてみよう。
ソーを演じているのが、テレビドラマ「Guinevere Jones」から数えて2022年で俳優デビュー20周年を迎えるクリス・ヘムズワースだ。オーストラリアの大都市メルボルンに生まれ育ち(兄のルーク、弟のリアムも俳優)、テレビドラマ「Home and Away」(2004~2007年)におけるキム・ハイド役での好評を得て、2009年にハリウッド・デビュー。アカデミー賞に輝いた「スター・トレック」のジョージ・カーク役で一躍注目を浴び、その2年後の2011年にはマーベル映画「マイティ・ソー」の主演を務めたのだから、まさにスターへの階段を超高速で登っていったと言える。
その後も勢いは加速するばかりで、「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」「マイティ・ソー バトルロイヤル」と続くシリーズ、そしてもちろん「アベンジャーズ」シリーズでもソーを演じて今に至っている。文字通りの、はまり役と断言したい。
だが、クリスのフットワークは軽い。“どんな役柄にも自分を同化させていこうじゃないか”とばかりに「スノーホワイト」シリーズ、「ラッシュ/プライドと友情」「ゴーストバスターズ」「ホース・ソルジャー」「メン・イン・ブラック インターナショナル」などに出演した。つまるところ、それぞれ白雪姫、レースもの、お化け退治、戦争映画、SFアクションなのだが、もう何でも来いといわんばかりのスタンスではないか。しかも彼は役柄のために体重の10~20kg増減など難なくこなしてしまうともきく。いろんな映画を見て、いろんな体形のクリスを知るのもまた、大きな楽しみになることだろう。
個人的には2013年公開の「ラッシュ/プライドと友情」でいっそう彼を強く印象付けられた。実在した偉大なレーサー、ニキ・ラウダとジェームス・ハントのライバル・友情物語だ。クリスは「ちょっとぐらい危険なことをしても、セックスやドラッグも含めて人生を楽しまなきゃ」的キャラクターを持つジェームスに扮(ふん)し、「とにかく安全に、確実に勝つ。それに集中する」的キャラクターのニキ(ダニエル・ブリュール)と好対照をなす。
余談になるけれど、僕が小学校に入りたての頃にF1ブーム、スーパーカーブームがあった。当然、クラスの男子のほとんどが熱中し、カードを交換してはレーサーの名前や水冷/空冷エンジンの違いなどを調べて教え合った。ぼくの一押しはニキ・ラウダとロニー・ピーターソン(1978年に他界)だった。なぜか? 名前が覚えやすかったからだ。そのニキ・ラウダの好敵手で、ロニーの死のきっかけとなったレースで彼の車に接触していたのがジェームス・ハントだった。そのジェームスを演じた男こそクリス・ヘムズワースなのだ。
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