――番組立ち上げ時には「赤ちゃん向けに良質な動画コンテンツを提供したい」というコンテンツの作り手としての視点に加え、「子ども向け番組への広告出稿ニーズが存在する」というビジネス的な視点もあったと伺っています。ビジネス面での現状はいかがでしょうか。
おかげさまで番組の認知度が高まり、CM枠も引き合いが強い人気枠になってきています。当たり前ですが衣・食・住など、すべて大人と同様に子ども向けの広告ニーズがあるわけなので、コラボ展開も含め、多岐にわたる企業さんから関心を持っていただけています。正直私は自分が子どもを産むときには、世知辛い世の中だなと思っていたんです。優先席もほとんど譲ってもらえないし、交通機関ではマタニティマークを隠したほうがいいという話があったりして。でも「シナぷしゅ」の仕事を通じて、子育て世代に温かいまなざしを向けている企業さんは、思った以上に多いんだなということがわかって。そういった企業さんとご一緒できるのはこの仕事の醍醐味でもあると思います。
――様々な企業とのコラボ展開をされていますが、特に印象深かった案件はありますか?
ひとつあげるならGUさんとのコラボです。ちょうど「シナぷしゅ」が立ち上がったのが、GUさんがベビー服の「GU Baby」を立ち上げられたのと同じくらいの頃で、大企業としては一番早くコラボに乗り出してくださいました。アイデア出しからすさまじい量のやり取りをしました(笑)。GUさんは単に「キャラクターがかわいいから」ではなく、番組コンセプトや企画側の考え方、視聴者である赤ちゃんとの向き合い方を評価してくれたので、それがうれしかったですね。GUさんは服作り、私たちはコンテンツ作りのプロフェッショナルとして、お互いに赤ちゃんのことを真剣に考えて、ちょうど真ん中で折り合える形でのコラボレーションが実現したと思っています。
――飯田さんは元々営業局にいらして、「シナぷしゅ」が初めての番組企画とのことですが、お子さんを持たれたことがご自身のクリエイティビティに影響を与えたと感じますか?
営業にいたことでビジネスマインドが頭の半分くらいを占めているので、「こうすればビジネスが大きく広がるな」という考え方が培われたことは、企画を立てる上でもとても役立っています。その上で、子どもが生まれたことで自分の視野が変わったと思います。子供と日常を過ごしていると、毎日が発見の連続なんです。息子との生活やママ友さんとの会話を通じて、子育て世代の需要や困りごと、一消費者として感じた日常生活の「あったらいいな」を企画に落とし込んでいます。「シナぷしゅ」はアートディレクターも子育て中なので、企画会議という形じゃなく、あえて親同士の雑談のような形で話しながら「シナぷしゅ」なら何ができるかをいろいろ考えていますね。
――では最後に「シナぷしゅ」を通じてこれから飯田さんが新たにチャレンジしてみたいことは?
いつか「シナぷしゅ」の森を作りたいと思っていまして。
――森ですか?!
はい。テーマパークみたいな感じで、お子さんと楽しめるアートギャラリー、身体を動かすアスレチック、クリエイターさんたちのワークショップができる場所、カフェなんかが、万博みたいに自然の中に点在している森をひとつ、数年後には作りたいなと思っています。
――すごくいいですね!楽しみです。
がんばります!
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