次にオススメするのは「キャプテン・マーベル」。マーベル・スタジオ初となる単独女性ヒーロー映画で、2015年公開の映画「ルーム」で第88回アカデミー賞の主演女優賞を獲得したブリー・ラーソンが主演を務めている。
6年前に瀕死の重傷を負った一人の女性が、その負傷の代償として得た“フォトンブラスト”というパワーを持って、クリー帝国のエリートソルジャーチームの隊員として活躍していた。ある日、クリー人と対立しているスクラル人との戦闘中に失った“記憶”を狙われ、捕われてしまう。そこをきっかけに、主人公キャロル・ダンバースが“Ms.マーベル”から“キャプテン・マーベル”になっていく過程がしっかりと描かれている。
その間、例えばパイロット志望でも時代設定的に女性はなれなかったり、悔しい思いをしながらも奮起し、努力を繰り返して夢を勝ち取ってきた。ヒーローとしての強さもレベルが高く、新たなタイプの女性ヒーローだと言える。
初の黒人ヒーロー「ブラックパンサー」や圧倒的な強さを誇る女性ヒーロー「キャプテン・マーベル」、さらにはマーベル初のアジア系ヒーロー「シャン・チー/テン・リングスの伝説」など、多様性を考えさせられる時代に、どんどん既存の壁を壊していく作品が増えているところが興味深い。2022年夏にディズニープラスで独占配信されたオリジナルドラマ「ミズ・マーベル」では、MCU史上初めてムスリム(イスラム教徒)の女子高生ヒーローが誕生したのも記憶に新しい。ちなみにミズ・マーベルは、憧れのキャプテン・マーベルと共に2023年夏公開予定の「ザ・マーベルズ」への出演が予告されている。
ディズニープラスならではの作品としてオススメしたいのは「マーベル・スタジオ 知られざる秘密」。この作品は、広がり続けるMCUの過去作を体系的に紹介してくれている。「ワンダ・マキシモフ」「ヴィジョン」「ファルコン」、他にも「ロキ」「四次元キューブ」「ブラック・ウィドウ」「アベンジャー計画」「ドクター・ストレンジ」「ウォン」「ソー」など、MCUに登場する重要なキャラクターやアイテムをフィーチャー。各話10分前後なので、気になるエピソードから見て楽しむことが出来て、ここから長編作品へとつなげていく楽しさがある。タイトル通り、“知られざる秘密”が明かされているので、MCU作品をたくさん見ている人でも新たな発見がありそうだ。
そして「マーベル・スタジオ アッセンブル」シリーズもオススメしたい。こちらはマーベル作品のいわゆるメイキング映像。「マーベル・スタジオ アッセンブル:ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネスの裏側」では、メガホンを取ったサム・ライミ監督のインタビューはもちろん、彼と縁の深い“親友”ブルース・キャンベルがストーリーテラー風に登場するのも粋だ。
なぜしばらくMCU作品から遠ざかっていたサム監督がオファーされたのか、今作でMCUに初登場したアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)を「以前からずっと登場させたかった」という話、スカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフを演じたエリザベス・オルセンが「まさかヴィランになるとは…」と語るインタビューなど、裏話がたっぷり。
もちろん主演のベネディクト・カンバーバッチの談話や衣装、多彩なワイヤーアクションの裏側、みんな大好きウォンことベネディクト・ウォンとソーチーのかわいらしいオフショット、そしてサム監督おなじみの“イースターエッグ”(隠しネタ)について、制作スタッフの細部にわたるこだわりまで知ることができる。
また、9月8日からの「ソー:ラブ&サンダー」本編配信に合わせて「マーベル・スタジオ アッセンブル ソー:ラブ&サンダーの裏側」も配信された。初々しいクリス・ヘムズワースの「マイティ・ソー」役をつかむ前のカメラテストの模様から始まり、クリスらキャスト陣のインタビュー、監督でありコーグ役のモーションキャプチャーも務めるタイカ・ワイティティの類い稀なる才能と、現場を盛り上げる明るい性格についても、多数の証言を交えて紹介している。メイキングといっても、それぞれたっぷり1時間ほどあり、本編からは知り得ない情報など、盛りだくさんな内容となっている。
好きな作品、気になった作品をより掘り下げることができるのも、こういう作品があるからこそ。ディズニープラスでマーベル、MCUをぜひ究めてもらいたい。
◆文=田中隆信
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