夏目真悟監督、「四畳半神話大系」が一つの転機に「自信になりましたし、仕事も増えたんです」

夏目真悟監督にインタビューを行った※ザテレビジョン撮影

2010年にTVアニメ化された森見登美彦氏による小説「四畳半神話大系」と、舞台で4度公演され、実写映画化もされた上田誠氏の戯曲「サマータイムマシン・ブルース」が“悪魔的融合”を遂げて誕生した「四畳半タイムマシンブルース」が、アニメ化。9月30日(金)より3週間限定で全国公開。ディズニープラスにて、9月14日(水)から配信限定エピソードを含む全6話が順次独占配信される。

本作の舞台は、灼熱の京都。壊れたクーラーのリモコンを巡り、大学生たちが突如出現したタイムマシンで昨日と今日を右往左往する様がコミカルに描かれる。

WEBザテレビジョンでは、TVアニメ「四畳半神話大系」にも参加していた本作の監督・夏目真悟氏にインタビューを実施。原作の魅力や複雑に入り組んだ“時間の流れ”の描き方、アニメーターとしてのターニングポイントなどについて語ってもらった。

懐かしさもあって妙にしっくりくる


――作品のポスターにも“悪魔的融合”と書かれている、まさに奇跡のコラボが実現した原作の魅力はどんなところですか?

“悪魔的融合”っていい言葉ですよね(笑)。確かにその通りだなと思います。実写の「サマータイムマシン・ブルース」(2005年公開)を見る前に原作を読んで面白いなと感じていました。

四畳半神話大系」のキャラクターたちが出て来る懐かしさもあって妙にしっくりくるんです。いきなりタイムマシンとかが存在していても許される世界観の中で、それぞれのキャラクターがすんなり受け入れながら物語が進んでいくのがとても気持ち良くて。原作を読んだ後に遡るような形で上田さんの戯曲を映像化した映画「サマータイムマシン・ブルース」を見ました。

映画「四畳半タイムマシンブルース」は青春ものというかちょっとミステリーっぽい感じもあって、違った色合いが出ていて面白い。それと、やっぱり森見(登美彦)さんが原作小説を書かれているというところが非常に大きいですよね。「四畳半神話大系」の文体で「サマータイムマシン・ブルース」を再現しているところがまさに“悪魔的融合”っていう感じです。

時間軸を整理する香盤表を作りました


――劇中では登場人物たちが現在と過去を行ったり来たりしますが、時間の流れを描く時に意識した点はありますか?

きっちり整合性を取らないといけないっていう前提があったので「この時間にこれが起きた」っていう時間軸を整理する香盤表を作りました。時間を追っていくハラハラ感がある中で見ている人が分かりやすいように物語が展開する。8月11日と12日で服装を分けたり「現在」と「回想色」っていう2つのものを作ったり。現場でスタッフと確認しながら時系列を作っていったつもりなので破綻なくできているんじゃないかなと思っています。

結構正確に作っているので1回見て分からなくても2回、3回と見てもらえるとモヤモヤしていたものがすっきりしたり、新しい発見もあると思うので繰り返し見てもらえるとうれしいです。

――確かに流れを知った上で見ると違う楽しみ方ができそうですね。

個性豊かなキャラクターが何人もいるので主人公の「私」はもちろん、明石さんや小津だけをずっと意識しながら見るのも面白いです。

自分的に一番好きなのは相島先輩にスポットを当てた見方。劇中では相島先輩だけめちゃくちゃ取り残されているんです。あの人に注目しながら見ていると、のちに共感となって返って来るかもしれません。

――相島先輩は最後まで何が起きているのか分かっていませんよね(笑)。

そう!そうなんです。リモコンとかも全く意識していないんです。