菅田将暉が明かす、学生時代の“記憶”「(芸能界に入って)よかったって思えたのは25歳くらいになってから」

「なぜかアリの記憶がめっちゃあるんですよね」

菅田将暉 撮影=下田直樹/スタイリスト=猪塚慶太/ヘア&メーク= AZUMA(M-rep by MONDO-artist)


――(笑)。では、特に忘れてしまいがちな記憶は?

道が覚えられないんですよね。めちゃくちゃ方向音痴なんです。本当に苦手で…。ゆっくり歩きながら、道全体を見渡しつつ、意識して記憶しないと覚えられなくて。前方の景色だけで覚えていると、そこにいた人とかで記憶しちゃっているから、次に通ったときに同じところに人がいないと、違う景色だと思っちゃうんですよ。だから、鳥とかがいたりしてもダメなので、動かないものだけをなるべく見るようにしています。

――逆に言うと、動くものをよく記憶しているんですね。

そういうことにもなるのかな…。でも、単純な方向感覚が本当にないんです。空間認識とか、その辺の能力が著しく低いんでしょうね(笑)。自分の中では真っ直ぐ進んでいるつもりなのに、いつの間にか全然違うところに出ちゃってたりするんですよ。何回歩いても、これはたどり着けないだろうって。何でみんなこのマップでわかるの?絶対ウソついてるよって思います(笑)。

あと全然共感してもらえないんですけど、撮影スタジオとかでも部屋を移動することがあると、もう全くわからないんですよね。どこで支度してきたか、トイレがどこかとか、よく迷うんです。テレビ局とかも楽屋から一度出たらもう最悪ですよ…帰ってこられない。しかも景色が似てるから、覚えようと思ってもダメなんですよね…。

――なるほど(笑)。そんな忘れてしまいがちな菅田さんですが、幼少期の記憶はありますか?

ポツポツは覚えていますね。なんか…アリを食べてました(笑)。なぜかアリの記憶がめっちゃあるんですよね。今考えたら危ないし、めちゃくちゃ汚いんですけど、僕、道路の横にある側溝を歩くのが好きだったんです。小学1年生くらいのときに、川が氾濫するほどの大雨の日があって。側溝の水も深くて、胸下くらいまで来ていた記憶があります。その中を僕は堂々と歩きながら帰宅して、家に着いたらめちゃくちゃ親に怒られるわけです。

でも、楽しかったからいいやって思いながら風呂場に行って、ズボンを脱いだら…太ももにアリが噛み付いていて(笑)。痛くはなかったんですけど、なんかそれを見たとき、僕止まっちゃって。「あの激流の中、この子は必死に噛み付いて、僕と一緒にここまで来たんだ」って思ったんです。当時小学生ながら、そのアリの姿に何かちょっと感動して、相棒みたいな気持ちになったなって。あの景色をふと今思い出しました(笑)。

◆取材・文=戸塚安友奈

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