<メイドインアビス>ファプタの壮絶な姿に視聴者釘付け スピード感と迫力満載の戦闘シーンは「もう映画やん!」

2022/09/15 18:40 配信

アニメ レビュー

自身の存在価値に揺れるファプタ

破壊されたガブールン(C)つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会


成れ果ての住人が食われ、ファプタの友ガブールンも破壊され、生きる理由、大切なものが奪われていく。立ち上がることもできないほどボロボロになり「何も成せぬままの不滅に価値などない」と嘆くファプタを救ったのは、滅ぼすべき相手である成れ果ての者どもだった。成れ果ての住人たちは自分たちの体をファプタに食べさせ、ファプタの体は代わりに回復していく。ファプタはイルミューイが産んだ価値の化身。住人たちは自身という価値を食べさせることで、ファプタを救おうとしていたのだ。

母の解放が自らの存在意義であると考えていたファプタだが、さらに全てが分からなくなってくる。ただ1つ理解できるのは、今も自分を突き動かす役目の先に、何かが隠されているということだった。それが“価値の化身”という存在としての価値ではなく、自分自身が抱く本当の価値なのか。去来するのは価値に導こうとするベラフの言葉、自分に価値を見る果ての者どもの言葉だったが、ファプタはそれを振り払うように美しい遠吠えを上げ、立ち上がる。

「勝手に決めるな。『価値』は自ら知りにゆくそす」と決意を胸にするファプタの瞳からは憎悪が消え、澄んだ輝きが宿っていた。

ベラフの行動を機に、ファプタに大きな変化が訪れた今話。放送後のTwitterには、「記憶を託して消滅したベラフと最後の力を振り絞ってファプタを助けたガブールンには泣けたわ」「ベラフのイルミューイへの想いも尊くて涙そす」「ファプタのひねり出すような声。久野美咲最高か」「大事なガブや兄弟奪われてボロボロになりながら価値を見出すファプタ切ない」など感涙に震える感想が相次いでいた。

来週9月21日(水)は、「メイドインアビス」スタッフのこだわりシーンをキャストが紹介する特別番組を放送。最終話となる第12話「黄金」は、9月28日(水)に1時間スペシャルで放送される。

■文/鈴木康道