「激レアさんを連れてきた。」「あざとくて何が悪いの?」「ノブナカなんなん?」など数々の人気番組に出演するテレビ朝日の弘中綾香アナウンサー。彼女がこのほど、自身初のエッセイ集「アンクールな人生」を発売した。著書では「カテゴライズされる窮屈さや、謂れのない憶測も心から嫌だった」との葛藤もつづっており、「“テレビの中の私”は私であって私でない」という感覚があることを明かす。その一方で執筆することについては「私が1語1句全部書いたもの。文章を書いて発信できる仕事をさせていただけたことは、本当に大きかった」とし、「執筆の仕事がなかったら、アナウンサーを続けているかわからなかった」とも語った。
――今回のエッセイ集では、子ども時代から現在に至るまでの様々なエピソードが披露されていますが、弘中さんは幼少期、どんなお子さんだったのでしょうか。
早くから「競争社会」を意識していたような気がします。小学生の頃、私は足が遅くて、体育の授業が苦手な目立たない生徒でした。一方で、塾に通ったら割と頭が良く、「学校では全然冴えなかったのに、こっちでは褒めてもらえるぞ!」と手ごたえを感じたりもしました。振り返ってみると「世間の中で自分はどういう立ち位置なのか」を、幼い頃から容赦なく知る機会があったように思います。
――本の中では、中学受験の思い出について詳しく書かれています。ご自身の中で、中学受験は大きな意味を持つ経験だったのでしょうか。
大きかったです。人生の中で、中学受験に取り組んだ3年間しか勉強していないので(笑)。私はもともと運動神経が良かったりとか、絵が上手かったりとか才能があるタイプの子ではありませんでしたが、そんな自分でもコツコツやっていけば褒められると知った出来事でしたし、ひとつの成功体験として衝撃的でした。
――弘中さんは、ある女子高で開催されたドラマ「女子高生の無駄づかい」(2020年、テレビ朝日系)の制作発表イベントに司会進行役として登壇されていました。そのイベントの最後、弘中さんが生徒の皆さんに向かって「勉強してください」とメッセージを送っていたことが、個人的に印象に残っています。
そんなこともありましたね(笑)。あの発言をした理由を思い返してみると、たとえばファッションデザイナーやカメラマン、パティシエなど、なりたいものを「これ」と決めている若い子たちは、その目標に向かって頑張るべきだと思うんですよ。だけど私自身は、何に向いているのかも、何が得意なのかもわからず、とりあえず大学に行ったタイプの学生でした。そんな自分の経験を踏まえて、「まだ目標が定まっていない子たちは、とりあえず勉強して大学へ入ってからなりたいものを選んでほしい」とあの時、伝えたかったんですよね。