逆に大変なことや苦労していることを聞くと、案の定、この答えが。
「冒頭の話とも重複しますが、シンプルに1点、時間がない(笑)。なぜ自分が一人しかいないんだろうって思います。いろんな制作進行の過程で人に任せることも部分的にできると思うんですけど、できればそうはしたくなくて、それは口を出したいからとかじゃなく、“我が子”の成長をずっと見ていたいからなんです。例えば、赤ちゃんが生まれたら、初めて立つところも靴を履けるようになるところも全部見たいじゃないですか。それと一緒。大変だからって端折ってしまって愛おしいワンシーンが見られないのはイヤなので、やっぱり人に預けるわけにはいかない。まぁ、てんやわんやしないと意味がないとも思うし、やっぱり、全力で走ってるときが一番楽しいですからね」
専業の漫画原作者のように、連載担当者との打ち合わせも毎週のルーティンになっているそう。リモート会議で対応していると話す。
「本当にガチでやってるんですよ(笑)。でもその場はわりと確認作業が多いですかね。『このタイミングでSNSが運用されて、こういう文言でリリースを出しますがいいですか?』みたいな業務連絡から、漫画の作画を担当してくださっているひつじロボ先生から上がってきたネームを見て、『絵になったらここの文字が要らないんで切ってもらえますか?』みたいなことまで。チェック作業は、“みんなが応えてくれた結果”を見させてもらう感じで私はすごく楽しい。開封が楽しみな封筒が届くような感覚です」
ひつじロボ氏との共作は「先生がいつもすごく汲み取ってくださるので、こちらからのオーダーはほぼない」と言う。作業の裏側を聞いた。
「私の脚本の中に“こういう表情で”とか“こういう室内の雰囲気で”という指示みたいなものはもちろん書くのですが、本当に毎回それ以上のものが仕上がってくる。細かくすり合わせたのは最初だけで、今はほとんどお願いすることがなく、私のシナリオから先生が広げてくれる素晴らしい世界をいつも楽しみにしています。めちゃくちゃ愛して描いてくれてるんだなっていうのを感じますね。先生のネームを私が見て戻すときも、最近はもう好きな部分にひたすら矢印をして“ここが好きです”って書いて送り返すみたいな(笑)。“この足の角度が最高です!”“まつ毛、ながーい!”とかもあるし、もはやファンレターですね(笑)」
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