累計2100万部突破の人気漫画を原作に、闇金融業者と債務者たちの人間模様を描いて人気を博した実写版『闇金ウシジマくん』シリーズ。その新章となる『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』が、9月20日からMBS・TBSの「ドラマイズム」枠で放送中。また、地上波放送の1週間前には映像配信サービスdTVほかにて先行配信中となっている。主人公は、2014年の映画『闇金ウシジマくん Part2』から登場し、丑嶋馨(山田孝之)の宿敵となった女闇金・犀原茜〔サイハラアカネ〕。演じるのは、『アバランチ』『マイファミリー』などドラマや映画に引っ張りだこの高橋メアリージュンだ。6年ぶりとなる犀原役に、どのように挑んだのか。「ターニングポイントになった」という理由とは?
——犀原茜役で主演された『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』。出演のオファーを聞かれたときの率直なご感想は?
とにかくうれしかったです。私も犀原のスピンオフを望んでいましたし、周りの方にもやってほしいと熱望されていたので、また犀原を演じられること、そして、それをみなさんに報告できることがうれしかったです。
——今回、犀原を演じるにあたって特に意識したことは?
『Part2』で初めて犀原を演じさせていただいたときに、監督と犀原のベースを作ったので、そこからなるべくブレないように意識しました。
——ブレないためのポイントは?
犀原は感情が溢れないように常に心に蓋をしていて、それでも溢れるときは叫んじゃう(笑)。しかも腹からじゃなく、喉から声を出すように叫ぶので、まずそこを意識しました。あと彼女は、目が難しくて。普通、人は叫ぶときに目を見開くんですけど、犀原は目が死んだまま叫ぶんです(笑)。なので、顔の上下の分離が大変。技術的には、そこを意識し直しました。
——犀原率いる「ライノーローン」の村井役・マキタスポーツさん、新メンバーの硲悠斗役の宮世琉弥(みやせりゅうび)さんとの共演の感想は?
楽しかったです。マキタさんは私が疲れないように気を遣って、常に笑わせようとしてくれて。宮世くんはまだ18歳なのに、「何回人間やってきたんだろう?」って思うくらいしっかりしていて、しかもピュア。「困っちゃうな。優しい犀原になっちゃわないかな」って心配になるくらい、最高のメンバーでした。
——今回の撮影で大変だったことは?
直前のセリフ変更です。撮影現場に台本を覚えて行くと、セリフ変更の紙が、ひらひら〜とやってくるんですよ(笑)。「え!? ここ、一番練習してきたとこなのに……」とか思うんですけど、変わったセリフの方が面白いから、納得してやるしかない。
——そこから急いで覚える?
はい。でもすぐにドライ(カメラなしでのリハーサル)が始まるので、覚えられないまま、とりあえず紙を持ってドライをやって。テスト(カメラありでのリハーサル)でも、まだ覚えてないんですよ。「うわ、もう本番始まった。イチかバチか!……ああ、言えた〜!」と、なぜか本番だけうまくいく(笑)。そんなセリフ変更がほぼ毎日あったので、ものすごく鍛えられました。
——逆に楽しかったことは?
マキタさんと宮世くんといるときは、常に楽しかったです。2人とも本当にチャーミングで、カメラが回っていないときは、ずっと笑っていたくらいなので。あと、ヤクザの熊倉役の光石研さんや、債務者役の勝村政信さん、古畑星夏さん、岡崎体育さんといった共演者の方々が素晴らしくて、彼らとお芝居をするのも楽しかったです。
——不良グループのリーダー・象山彪役を、野村周平さんが演じることも話題です。
野村さんとはライバル役。お互いにガッと力が入っていたので笑うことはなかったんですけど、光石さんが怒るシーンには耐えられなくて、笑ってNGを出したこともありました(笑)。
——今回の作品を通じて、女優として得たものはありますか?
キャスト、スタッフの方々とのご縁と愛情に恵まれたこと。スキルでいうと、やっぱり、セリフを一瞬で入れてアウトプットする集中力です。『サイハラさん』で鍛えられてからは、ほかの現場でセリフ変更があっても、「あ、これくらいね。全然大丈夫です」みたいな(笑)。どの現場でもリラックスして演じられるくらい、鍛えられました。
——完成したドラマ『闇金サイハラさん』の魅力、見どころは?
『闇金ウシジマくん』シリーズならではのキャラクターや世界観の“濃さ”は健在なので、もともとのファンの方には「『ウシジマくん』シリーズが帰ってきた!」という感覚で楽しんでもらえると思います。『サイハラさん』ならではということで言いますと、毎回、美味しそうなラーメンが出てくるんですよ。あれは毎度、「飯テロ」になると思います(笑)。あとは、アクションも見どころ。犀原が麻雀の牌を武器に戦ったり、跳び蹴りをしたり、いろんなアクションを増量しているので、ぜひ注目していただきたいです。
——dTVでは、過去の『闇金ウシジマくん』シリーズ全10タイトルを配信中です。高橋さんは、映像配信サービスを利用することはありますか?
すごく利用しています。スマホやタブレットで見るときもありますけど、作り手のみなさんは細部までこだわってる。なるべく大きな画面で見たいので、家ではプロジェクターを使って見てますね。
——視聴するのは、どんな作品が多いですか?
役に入るときは、その役に合ったドラマや映画を見ます。あと、私はお笑いが好きなので、お笑い番組を見たり、格闘技も好きなので、格闘技を見たり。ヨガ系、美容系、なんでも幅広く見ますね。配信は、その時の気分で自由に作品を選べて、知りたい情報をゲットできる。この文明に感謝しています(笑)。
——今回、犀原を演じるにあたって、どんな作品を見ましたか?
『ウシジマくん』シリーズを見直しました。そうすると、例えば『Part2』と『Final』で、犀原の髪型がちょっと違うことに気付くんですよ。「あ、こっちの方がいいな」と思って、そっちに寄せて髪を切ったりしました。
——『闇金サイハラさん』は、テレビ放送の1週間前からdTVで先行配信されます。
いち早く見られて、いいですよね。配信だと、CMが入らず、一気に見られる良さもある。繰り返し見られるのもいいですよね。私、好きなドラマは1週間待てなくて、何度も繰り返し見るんです。そうすると、細かい伏線まで拾えるので、また面白い。『闇金サイハラさん』も、何度も見ていただきたいです。
——女優として引っ張りだこの高橋さんですが、犀原ほど長期間演じているキャラクターは珍しいと思います。ご自身にとって、犀原はどんな存在になっていますか?
大好きな役だし、女優としてのターニングポイントになりました。もともと私は周りに遠慮したり、気を遣ったりするタイプなんですけど、犀原は本当に遠慮がない(笑)。それでも、すごく魅力的なんですよね。そんな彼女に触れることで、「自分らしく生きよう」「自分に嘘なく、思うがままに生きよう」と思うようになりました。
——今年、農業学校を卒業し、シェア畑で農作業をされているそうですね。そんなオリジナリティが感じられる生き方にも、犀原の影響がありますか?
確かに、ピースの1つにはなっていると思います。農業に触れるきっかけは、規格外の野菜を知ったこと。人間だって肌の色や体型、性格もバラバラなのに、野菜は色や形が違うと「規格外」として廃棄される。「野菜だって、同じ形じゃなくていいんじゃない?」と思えたことと、犀原に学んだことは、どこか繋がっている気がします。あと、犀原を演じたことで、女優としての評価が高まって、いろんな役がくるようになりました。犀原を演じていなかったら、全然違う人生だったと思います。
——犀原と高橋さんには、何か共通点はありますか?
子どもを傷つけない、運動神経がいい(笑)。あと、家族には、目つきが似てると言われます。「中学のとき、お姉ちゃん、あんな目つきやったで!」って(笑)。同じ味覚を知っていることも共通していますね。監督から最初に「犀原は、涙の味がするご飯を食べていた」という裏設定を聞いたときに、ピンときたんです。私も中学のときと20代前半に、涙の味がするご飯を食べたことがあるので。
——中学のとき、お父様の会社が倒産したそうですね。
はい。でも「つらい」と思ってご飯を食べたんじゃなくて、美味しくて、心に沁みて泣いたという感じでした。だから、あったかい味なんです。20代前半は、大切な人を失って……そのときも、涙の味が沁みました。そういうことを思い出して、「犀原も、同じ人間なんだな」と思えたことは大きかったです。
——最後に、今後やってみたい役を教えてください。
子供と一緒に演じる、保育士さんの役などをやってみたいです。あとはアクションが好きなので、アクションバリバリの役とか。馬に乗る女戦士みたいな役をやって、今度は腹から声を出して叫びたいですね(笑)。
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