2000年に“チャクラ(※シャクラとも)”というガールズグループでデビューし、その後女優に転身したチョン・リョウォンが約2年半ぶりのドラマ「弁論をはじめます。」で、3度目の法廷ドラマに出演。「魔女の法廷」(2017)でKBS演技大賞の最優秀演技賞を受賞し、その後も「油っこいロマンス」や「検事ラプソディ」など話題作で主演を務めてきた彼女は、本作でも多面的な演技で視聴者を魅了している。
同作品は9月21日より「ディズニープラス」内「スター」ブランドで全世界同時配信が開始されたディズニープラスオリジナルドラマで、毎週水曜に2話ずつ全12話配信予定。ある事件をきっかけに大手法律事務所を追われ、田舎町で国選弁護人として働くことになった敏腕弁護士・ノ・チャッキ(チョン・リョウォン)が、そこで変わり者の国選弁護人・チャ・シベク(イ・ギュヒョン)と出会い、考え方が水と油ほど違う2人が衝突しながらも事件の真相を明らかにするために奮闘する姿を描く法廷ミステリー。原作はタイトルと同名のエッセイで、ドラマの中の事件は実際の事件をモチーフにしている。
チョン・リョウォン演じるノ・チャッキは、大手法律事務所“張山”で勝率92%を誇るエース弁護士。施設育ちで地方大学出身だが、祖母と親しかった“張山”の会長の口添えで、この一流事務所に入ることができたのだ。
成功欲が強く、勝つためならどんな手も使うし、週に124時間も働く―そんな彼女を快く思わない者も多く、社内では「魔王」、業界では「指示されれば何にでも噛みつく“張山の犬”」と影で呼ばれていた。そうやって実力でのし上がり、ついに事務所の次期パートナーの最有力候補となったのだった。
そして、念願のパートナーの座を手に入れるが、ある事件のせいでその座を追われ、その上、事務所も解雇されて田舎町の国選弁護人として働くことになる…。
チョン・リョウォンは、この作品のオファーが来たとき、台本のタイトルから法廷物だとわかり、ここ数年で「魔女の法廷」「検事ラプソディ」と法廷物が続いていたため、「早く断ろう」と思いながら台本を読んだそう。しかし、ストーリーがとても面白く、読み進めるうちに「私は、こういう話が好きなんだな」と思い、請けることにしたんだとか。また、過去2作は検事役だったが今回は弁護士役だというのも良かったようだ。
チャッキは、悪口を言うことを全くはばからない人物で、台本を読んだリョウォンは「こんなことを言ってもいいのかな?」と思ったそう。また、 最初はあまりにも完璧に感じられ氷のように冷たい性格だと思ったチャッキに親近感を持つようになった、とのこと。「私がコメディーを混ぜて、この氷みたいな人物に命を吹き込めば面白いという気がした」と、制作発表で語っていた。
実際、彼女はクールな顔つきからか、冷たく、我が道を行く役柄がとても多い。彼女が女優として頭角を表した「私の名前はキム・サムスン」でのヒョンビン演じるジノンの元カノ・ヒジン然り、「魔女の法廷」のイドゥム然り。女性視聴者に「近くに居たら、イヤだな」「友達にはなれないな」と思わせるキャラクターをいくつも演じてきた。だが、どこか魅力的で、最終的には嫌いにはなりきれないのだ。
今回もそんな彼女の不思議な魅力が存分に生かされていて、監督は、“ノ・チャッキ”というキャラクターを作るときに、彼女を念頭に置いていたそう。「法廷物が続くので、断られるかもと思ったが、台本に自信があり、読んだら抜け出せないだろうと思った」と、語っていた。
“張山”のエースとして活躍する彼女は、法廷で勝つために相手側の証人の不倫を暴露したり、事務所のパートナー弁護士となるためにわざと自分を窮地に立たせて逆転する芝居をうったりと容赦ない。面と向かった悪口にも全く動じない。施設時代の友達が被告となり、助けを求めてきたときも「私に頼むと6分で45000ウォンだけど、あなたに払えるの?」と冷たく突き放す…。可愛げのかけらもないチャッキに、視聴者は最初は反感を持つはずだ。
しかし、その友人が、現在チャッキが受け持っている事件に関係しているとわかり、彼女に会いに行って、とんでもない提案をする。「血も涙も無い女性だな」と思わせるが、その後、チャッキの今まで見えなかった一面を視聴者は知ることとなり、彼女に対する印象が変わると思う。チョン・リョウォンは冷たい物言いの中にもどこか人間味を見せる、そんな表現がとても上手い。キャラクターを多面的に見せ、いつのまにか魅きつけられるのだ。
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