声優としてTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに出演、さらに映像作品や舞台俳優としても幅広く活躍する佐藤日向さん。お芝居や歌の表現とストイックに向き合う彼女を支えているのは、たくさんの本から受け取ってきた言葉の力。「佐藤日向の#砂糖図書館」が、新たな本との出会いをお届けします。
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ここ最近の私といえば気持ちの浮き沈みが激しく、どうにも自分の機嫌がうまくとれない。そんな時、"本書を読めば、あなたの品格が必ず上がる"という言葉を目にして、今一度自分の品格を見つめ直したいと思い、本書を手に取った。
今回紹介するのは、美輪明宏さんの『乙女の教室』というエッセイ集だ。美輪さんの考え方や信念が詰まった一冊の中に、挨拶がなぜ大事なのか、思いやりとはなんなのか、感謝の気持ちを忘れてはならない理由など、生きていくうえで人間に必ず必要だけど忘れがちな基本の行動について、教科書のように分かりやすく語り口調で書いてあり、一文字一文字を心に刻むように読んだ。
私は幼い頃から仕事をしていたこともあり、幼少の頃お世話になったマネージャーさんに基礎という基礎を全て教えてもらったし、挨拶については特に厳しく教えてもらった。幼い頃の私はとにかく頑固で、自分を曲げることが苦手だったこともあり「どうしてこんなに厳しく言われるの! 悔しい!」と思っていたが、厳しく挨拶を叩き込んでもらえたおかげで、どこの現場に行っても、初めて行く現場でも、挨拶を忘れることはないし、「どう挨拶をしたらいいんだろう」と戸惑うこともない。
本書の中でも、挨拶をしない人はどう挨拶をしていいのか分からないと書いてあったが本当にその通りだと私は思う。本書に書いてある言葉は、全て心に優しく浸透していくだけでなく、改めて気付かされることも多く、タイトルの通り教室で学びを得たような気持ちになった。
特に気付かされたのは「乙女の課題5 いつも微笑んでいましょう」に書かれている、「微笑みは自信の表れであり、人柄や今の状態、魂のありようがそのまま、微笑みには表れてしまう」という一文である。私は、感情が顔に出やすいのが短所であることを自覚しているにもかかわらず、嫌な気持ちになった時や頑張れない時、顔から表情が一切消えてしまう。それは自分に自信がない、心に余裕がないからなんだと気付き、佐藤日向自身が自分のことを認めてあげられない限り、きっと自信を持つことは出来ないし、微笑み続けることだって難しいと思ったのと同時に、本書の言葉がストレートに胸に刺さった今は、私なりの微笑み方が分かったような気がしている。
人前で言葉を扱う仕事をやらせてもらっているからこそ、どこで誰に自分の行動を見られているか分からないため、常に丁寧に、その丁寧が日常になるように生活をしていきたい。エッセイの冒頭でも、乙というのは"ちょっといい" "なんだかいい"と触れられているが、これから「乙な女」になれるよう、自分を大切に育てていきたい、そう思える一冊だった。乙女に限らず自分の品格をしっかりと見直せるエッセイ集なので、是非沢山の方に手に取って頂きたい。
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