眞島秀和×柄本明“一世一代の芝居”に心震える 最後は涙で「ありがとう」<さよならの向う側>

2022/09/30 13:02 配信

ドラマ レビュー

役者の夢に破れた眞島秀和“浩一”の演技に涙

映画館に連れて行ってもらった幼い浩一は、宇宙怪獣のフィギュアが欲しかったが、父が買ってくれたのはキャラメル。そんな苦い思い出を語っていると、案内人はまだ時間が残されていると告げるが、酒を飲みたいと返す浩一に、「本当の気持ちをごまかして自分と向き合うことから逃げている」と促した。

そして、浩一が本当に会いたいと願って向かったのは、父・博の元だ。姉からの連絡で浩一が死んだことを知る父に姿を見られたら消えてしまうはずだったが、なぜか消えることはなかった。実は、博は認知症を患い、浩一の死を理解できていなかったのだ。

浩一のことを自分の父親だと思って話す博。そんな博に、自分にとっては祖父である博の父のふりをして返す浩一。

浩一は、父と見た映画をきっかけに、職人である父の跡を継がずに役者を志して家を出ていた。「きっとお前の好きな映画の世界に出て、お前を驚かせてやろうと思ってるんだよ」「仕事仕事のお前が唯一一緒に過ごしてくれたあの時間が、二人のあの時間が、あいつにとって夢のような時間だったんだ」と自分の気持ちを託して語った。

すると、そこで博がかつて買ってやれなかった宇宙怪獣のフィギュアの代わりに、木で怪獣を作っていたことを知るという展開に。涙ながらに浩一は「ありがとう」と伝えた。

本当は息子への愛が詰まっていた父を演じる柄本に対し、眞島が見せたのは、役者になれなかった“放蕩息子”の一世一代の芝居だ。眞島、そして柄本の静かだが心震える、2人きりの芝居にぐっと引き込まれた。また、抱えていた後悔が無くなり、“あの世”への扉を開けようとする浩一が、すっきりとした表情をしている眞島の演技もすばらしかった。

次回、10月6日(木)放送の第3話は、心臓の病で亡くなった美咲(吉田凜音)は、案内人から最後に会いたい人を問われると、バンド仲間の忍(今井悠貴)が作った曲を「歌いたい」とおもむろに言い放つ。

◆文=ザテレビジョンドラマ部