7年ぶりのテレビシリーズとして放送が始まった「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(毎週日曜昼5:00-、MBS/TBS系ほか)。人類の戦争史を舞台に、テロ、人口、環境、エネルギー問題など時勢に見る社会的テーマが取り入れられるのが「ガンダム」の1つの特徴だが、今作発表時には学園が舞台、TVシリーズ初の女性主人公という、およそこれまでのガンダムイメージを覆す新しい形がファン内外に大きな話題を振りまいた。第1話では学園で繰り広げられる、少しコミカルな要素も混じった雰囲気の物語が新鮮であったが、この“学園が舞台のガンダム”は何を描くのか?主人公の少女スレッタ・マーキュリー役の市ノ瀬加那、ヒロインのミオリネ・レンブラン役のLynnに、新しい形の「ガンダム」を語ってもらった。
――学園が舞台という、過去の「ガンダム」にはない新しいアプローチです。作品にどのような雰囲気を感じていますか?
市ノ瀬 今までだと戦争や紛争が、「ガンダム」の舞台であることが多かったので、序盤からシリアスな話になることが多かったと思います。けれど「水星の魔女」は、学園が舞台とあって、けっこうコミカルな面もありますね。モビルスーツでの戦いにしても、学園の文化である“決闘”です。“決闘”は相手を殺すために戦っているわけではないので、そういうところの肌感覚は、これまでの「ガンダム」とは違う雰囲気を感じています。
――確かに本作の決闘には、学生の青春という雰囲気があります。
Lynn 決闘は学生たちの学園生活の一部なんですよね。モビルスーツで殺し合いをするわけではなく、学生たちのぶつかり合いみたいな雰囲気です。
市ノ瀬 ただ、決闘にはいろいろなものを賭けることができて、賭けたものによっては自分の学園生活、人生を左右しかねない一大事にもなります。それこそミオリネは第1話の決闘で、自身の花婿候補がグエルからスレッタに変わりましたし。
――今まで「ガンダム」を避けていた方も楽しめそうな感じです。
市ノ瀬 初めて「ガンダム」を観るという方にも入りやすい作品になっていると思います。青春ドラマですし、コミカルな要素もあったりして、低年齢層の方にも観やすい作品だと思います。もちろん女性の方にもぜひ観ていただきたいです。
――発表時にはTVシリーズ初の女性主人公という部分にも注目が集まりました。ガンダムファン内外に新しい波を感じさせましたが、お2人はそこにどんな感想を持ちましたか?
市ノ瀬 今回新しく、女の子がガンダムの主人公になってもいいんだ、女の子でも戦えるんだ、というところが見えるのは、やはり素直に嬉しく思いました。女の子のかっこいい一面を「水星の魔女」でも見せていけたらと思います。スレッタとミオリネ、真逆な性格の2人だからこそ起こる化学反応にもワクワクが止まらないですね。
Lynn 私は男性だから、女性だからという枠組はあまり気にしていなくて、今回はたまたま女性2人にスポットが当たっているというくらいの感覚です。確かに主人公が女性というのは過去のTVシリーズにはなかった切り口ですけど、これまでの作品でも女の子もモビルスーツに乗って戦ってましたし、「水星の魔女」にも男性キャラクターの勇ましい戦いもあるし、私たち自身は実はそこまで意識しているわけではないんですよね。
市ノ瀬 そうですね。小林(寛)監督からも「可愛く演じようとしなくていいですよ」というお話を頂きました。彼女たちも、私たちと同じ人間として生活している子たちなので、そのリアリティーを大切にされているのかな、と思いました。
――市ノ瀬さんは、演じるスレッタにどんなキャラクター性を感じていますか?
市ノ瀬 スレッタは別に“ザ・主人公”みたいな女の子ではなく、普通に周りにいそうな女の子ですね。女性主人公だからというよりも、そういう親近感の方が、スレッタのポイントになるのかなと思います。ちょっと内向的で人とのコミュニケーションが苦手なんですが、内にはちゃんと強さを秘めていて、一歩踏み出す勇気も持っています。彼女のセリフで「逃げたら1つ、進めば2つ」という言葉があって、逃げても1つ手に入るけど、前に進んだら2つ手に入る、ということなんです。勇気を出して一歩踏み込めば世界は変わる、ということをスレッタの姿を通して伝えていきたいです。
――内向的なスレッタに対して、ミオリネは誰が相手でも物怖じせず、ストレートにものを言うキャラクターです。
Lynn ミオリネは父に結婚相手を押し付けられ、それ以外にも父親のルールの上で、色々なことを勝手に決められているという事情もあって、世の中の全てが気に食わないんです。だから力でねじ伏せようとしてくる男性も大嫌い。その反動が、あの強さとして出ているのかな。彼女のそういうところは共感できるというか、とても格好良いですね。そういう意思の強さは大事にして演じていきたいと思います。
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