そして、シベクが懇意にしている餃子店の店主(キム・サンホ)も怪しい。彼は、過去のある事件のせいで記憶障害になったハン・タルジェ(チョン・ミンソン)を従業員として雇い、何かと親切にしてやっている。その理由を問われると「同病相憐れむ気持ちからだ」と答えた。そして、殺人事件の手口と同じような水攻め拷問の様子を事細かに語り、「もうすぐあなたにすべての記憶を失わせたヤツらに罰が下る」とタルジェに告げた。
タルジェも、ある日目覚めたら、自分の部屋のベッドで後ろ手に縛られていたり、「妻の行方を知りたければ…」と電話番号の紙が置いてあったり、そこに電話すると、妻は半年前に死んだ、と告げられたり…と不可解なことが起きている。
ちなみにこの店の餃子は、チャッキの祖母が作ってくれた物と同じ味らしい。店主と祖母は何か関係があるのだろうか…。また、シベクもチャッキの祖母とは知り合いだったようだ。
そして、製パン学校にいるチャッキの父親らしき人物は、部屋の壁にカンソン製薬やクムシン電気、張山絡みの記事を貼り、亡くなった人物の写真には×を付けている。何のためにこんなことをしているのだろうか。チャッキとは連絡も取っていないし長らく会ってないようだが、その理由は不明。
このように、登場人物が次々に殺人事件との関連を見せてきて、誰が犯人で、何故彼らを恨んでいるのか、過去の事件とは何なのか…に関心が止まらない。チョン・ジニョンは「普通、法廷ドラマは善悪の構図が明らかだろうという偏見を持って台本を読んだが、これは全然違った」と言い、チョン・リョウォンは「観ながら応援していた登場人物に裏切られる感じもあって、ユニークなストーリーだと思った」と話している。また、イ・ギュヒョンは「法廷エピソードの下に途方もなく大きな事件が隠されている。それが後に絡み合ってパズルのピースが合わさる瞬間、来月も視聴契約を継続することになります」と製作発表時、セールストークで笑わせていた。
この作品は、猟奇的な殺人方法と複雑なミステリーで、ともすれば重いドラマになるところを、チャッキとシベクの軽快なやりとりで笑えるシーンも多々あり楽しく観られるのもこのドラマの良いところだ。例えば、チャッキの対応に不満をぶつける依頼人をなだめて満足のいく応対をしたシベクに「私を悪者にして楽しい?」と突っかかった彼女に対し、「申し訳ない。あなたも立派な国選弁護人ですが、僕が有能で親切すぎるあまり、相対的に平凡で冷たく見えてしまいましたね。ソーリー」と、表情を変えずに淡々と返す。2人が初めて会ったときも、「張山の犬」と強烈な悪口を言ったシベクに、涼しい顔で「種類は?どうせならシーズーがいいわ」と返して、視聴者の笑いを誘った。
笑いの他に、ジーンと心に訴える要素もある。弱い立場の依頼人を守るために全力で弁護する法廷シーンはもちろん、勝率優先で非道な手も使ってきたチャッキが、国選弁護人になり依頼人から「いい人」と感謝され戸惑ったり、“張山の犬”時代の“手柄”が、実は加害者の肩を持っていて本当は被害者だった人物を心が病むほど大きく傷つけていたことを知ってショックを受けたり…と、変わっていく過程も見どころだ。
謎解き、笑い、感動―様々な要素が絡み合いながら後半戦に突入する「弁論をはじめます。」。この作品では、犯人を推理するには先入観が邪魔をするようだ。この先も予想を次々に裏切るどんでん返しの連続で、まだ被害者は増えそうな気配だ。脚本家は「主要な登場人物すべて容疑者リストに載せて、緊張感を維持するようにした」と語っている。毎回予測不可能な展開に翻弄されながら、最後まで犯人捜しを楽しみたい。
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