2021年8月まで宝塚歌劇団月組トップスターを務め、現在は俳優として活動する珠城りょう。2022年春クールでは日曜劇場「マイファミリー」でドラマ初出演を果たし話題を集め、このたび10月15日(土)、16日(日)に朗読ミュージカル「Unrequited Love~マクベスを殺した男~」に出演、19日(水)には自身初のアルバム「Freely」「Shine」を2枚同時リリースする。映像、舞台、音楽活動とマルチに活躍する珠城に、活動への思いや今後の目標を聞いた。退団直後は「怖かったし、不安しかなかった」と語る彼女の転機と、これから目指す未来とは。
──まずは、10月15、16日に上演される「Unrequited Love~マクベスを殺した男~」の脚本を読んだ印象を教えてください。
最初「マクベス」を朗読劇でやると伺ったときは、「シェイクスピアのお話なのでちょっと固いのかな」と思っていたのですが、脚本を読んでみたら劇中劇という形になっていて。というのも私が演じる女性漫画家・桜庭あきらは、物語の登場人物になりきって演じてから漫画に描き起こしていくというスタイルの漫画家なんです。このスタイルにすることによって、シェイクスピアの世界観が非常に面白く、かつわかりやすく受け取りやすくなっている。初めてシェイクスピアの題材の劇を見るという方にとっても、身構えずに楽しんでいただけるのではないかなと思います。しかも今回は“朗読ミュージカル”。今までの朗読劇とはまた違う、新しい形の劇として皆様にお届けできると思うので、私自身もとても楽しみです。
──珠城さんにとっては初の朗読劇となりますが、朗読劇ならではの面白さや難しさはどのようなところに感じていますか?
ダンスなどの派手なパフォーマンスがないぶん、言葉の抑揚や表現力がかなり求められるので、そのあたりが非常に難しいのではないかなと感じています。
──珠城さんは女性漫画家・桜庭あきらと、マクベスと対立するバンクォーという2役を演じます。役の演じ分けはどのようにしていこうと考えていらっしゃいますか?
キャラクターが全然違うので、そのあたりに不安はないですね。女性と男性というだけでも見え方は変わってきますし、現代に生きる漫画家と中世の将軍という雰囲気も全然違う。宝塚でも時代物など様々な作品を演じてきたので、その経験も生きていると思います。そういったいろいろなものに助けてもらいながら、桜庭あきらとバンクォーを表現していけたらと思っています。
──バンクォーは、退団後初の男性役となりますね。
はい。お客さまには楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。それに、私以外のキャストの方も、一人2役、3役といろいろな役を演じられるんですよ。キャストは4人だけですが、とっても楽しいステージになりそうです。
──10月19日にはオリジナルアルバム「Freely」とカバーアルバム「Shine」をリリースされます。出来上がった2作にはどのような手応えを感じていますか?
レコーディング自体が初めてだったので、自分で自分の曲を聴くのが恥ずかしくて、不思議な感じがしました。でも今回「聴いてくださる方の日常に寄り添える楽曲になったらいいな」「通勤・通学、家事をしているときなど、日常の何気ない瞬間に聴いてもらえたらいいな」と思って作っていったので、そういう楽曲としては、いい形で仕上がったんじゃないかなと思います。
──今までさまざまな楽曲を歌ってきたと思いますが、今回、アーティスト・珠城りょうとしてCDを作るにあたって挑戦したことがあれば教えてください。
宝塚にいたときはミュージカルナンバーなど、クラシックベースの楽曲を歌ってきたので、ポップスを歌うのは初挑戦。ミュージカルでは言葉一つ一つをはっきり発音していくのですが、ポップスは普通にしゃべるように歌っていく感じがあって。そういう意味ではすべてが挑戦でしたね。
──この2枚のアルバムをどんなふうに聴いてもらいたいですか?
聴いてくださる方が少しでも癒されたり、笑顔になれたり、前向きな気持ちになってくださったらうれしいです。今まで応援してくださった方はもちろんですが、退団後初めて私に興味を持ってくださった方にも手に取ってもらいやすいようにと考えて、オリジナルアルバム、カバーアルバムの2枚同時リリースという形を取りました。だから身構えずに、「どんな感じなんだろう」とぜひ手に取っていただけたらと思います。
──ジャケットも「Freely」と「Shine」では雰囲気が違って、いろいろな珠城さんが見られますね。
宝塚での男役の私を好きだった方もいらっしゃると思いますが、今はいち俳優として活動しているので、より自分らしい姿を見せられたらと思っていて。「Freely」のほうはファンの方がよく知っている私、ファンの方がイメージするであろう私で、「Shine」のほうは宝塚のときの私のことを知らない人が興味を持ってくれるのではないかなと思うビジュアルとスタイリングで撮影したんです。そういった意図も踏まえて、写真も一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。
──“元宝塚の男役”というイメージを刷新していきたいと思っていらっしゃる?
そうですね。でも無理になくしていくつもりはないですし、焦って「早く女っぽくなろう」みたいなことも考えていないし、私自身の根底にあるものは何も変わってはいないと思っていて。髪が伸びたくらいの変化はありますけど(笑)。いろいろなお仕事をさせていただく中で、自然と“元宝塚月組トップスターの珠城りょう”から“俳優・珠城りょう”という印象に変わっていけばいいなと思っています。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)