俳優の高橋克実が、10月15日に都内で行われた初主演映画「向田理髪店」の舞台あいさつに、共演者の富田靖子、白洲迅、矢吹奈子(HKT48)、運上弘菜(HKT48)、監督を務めた森岡利行と共に登壇した。
本作は作家・奥田英朗の同名小説を高橋克実主演で映画化したもの。寂れた元炭鉱町「筑沢町」にある理髪店の親子の葛藤を軸に、過疎化、少子高齢化、介護、結婚難など、どこの地方も抱える深刻な問題に直面しながらも懸命に生きる人々の姿が描かれている。家族の絆、人とのつながりの大切さを思い出させてくれるハートウォーミングな作品に仕上がっている。
多くの観客を前にして、高橋は10月1日の大牟田、2日の博多での舞台あいさつを振り返り、「1日はこのフルメンバーで、大牟田は大いに盛り上がりました。2日の博多は僕と森岡監督だけでガラガラでした(笑)。おっさん2人がただただ昔の舞台の話をして終わるというとんでもないことになってしまい、あの時のお客さんに迷惑をおかけしました!」と自虐的に答えて会場を和ませた。
高橋が演じるのは、親から継いだ理髪店を妻・恭子(富田)と共に営む”向田康彦”。好きなシーンを聞かれると、富田とのシーンを挙げ、「2人で商店街を歩くシーン。そこが映画抜きにして、一ファンとしていい時間を過ごさせていただきました(笑)」とその理由を明かした。
主人公の”生まれ育った故郷”というのが物語の舞台ということで、それぞれの故郷の思い出を聞かれると、高橋は「この映画の撮影中もそうだったんですが、試写を見た時に自分の故郷を思い出しました。新潟・三条市。高校までしかいませんでしたけど、その頃のこととか家族とかがパッと思い浮かびました」と思いを述べた。
この映画は福岡県大牟田市などをメインに、地元の人たちの協力の元で制作された。「大牟田で2週間でロケを敢行というか、強行軍で1本撮りましたのでなかなか大変でした。でも、大牟田市の方が述べ700人ぐらい、エキストラで参加していただいたりして、本当に手作りな感じだったので、このままどんどん支持を得ていきたいです。一番の思い出は、大牟田の方の熱意です。本当にありがとうございました!」と改めて感謝の気持ちを伝えた。
最後は、「福岡で先行公開され、知り合いから『見た』という連絡がありました。そして14日から全国で公開されて、知り合いから『新宿で見た』という連絡をもらいました。『満員だった。内容も良かった』とも聞きました。とにかく、こういうミニシアター系の映画は”口コミ”です! よろしくお願いします!」と力強くアピールして、舞台挨拶を締めくくった。
映画「向田理髪店」は全国公開中。
♦︎取材・文=田中隆信