映画化も多くされてきたラブストーリーの名作「ロミオとジュリエット」を、ジュリエットのいとこで、ロミオの初恋の相手でもある“ロザライン”の視点から描いたロマンティック・コメディー「ロザライン」が、10月14日に配信された。本作で、ロミオの“元カノ”であるロザライン役を「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」で、2022年のエミー賞(リミテッド・シリーズ部門)助演女優賞にノミネートされたケイトリン・デヴァーが務めており、“悲恋”の物語を見事にコメディー作品へと変容させている。(以下、ネタバレを含みます)
同作は、ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や、映画「フリー・ガイ」のダン・コーエンとショーン・レヴィがプロデュースを担当。映画「(500)日のサマー」などのスコット・ノイスタッターとマイケル・H・ウェバーが脚本、「ストレンジ・フィーリング アリスのエッチな青春白書」で長編映画デビューしたカレン・メインが監督を務める。
また、ロミオを演じるのは「史上最高のカンパイ! 戦地にビールを届けた男」に出演したカイル・アレン。ロザラインの“恋敵”ジュリエットは「インスタント・ファミリー 〜本当の家族見つけました〜」のイザベラ・メルセードが演じている。
庭の茂みからベランダによじ登り、詩人のような言葉で愛を伝えるロミオ。その相手の女性は“ジュリエット”かと思いきや、“ロザライン”という名前の女性だった。そう、この物語はロミオがジュリエットと出会うよりも前から始まっている。
“ロミジュリ”同様に、この物語でのロミオとロザラインも敵対する家系(モンタギュー家とキャピュレット家)同士のため、親には内緒で隠れて逢い引きしている。親から結婚話を次々と持ち込まれ、うんざりしていたロザラインは、仮面を着けてのパーティーにロミオを誘い、落ち合うことを約束するが、親から新たな見合い話を持ち掛けられ、仕方なく会うことに。その相手・ダリオと船に乗ったところ、大しけに遭ってしまい、パーティーに駆け付けるが時すでに遅し。ロミオが会場にいないどころか、会場でロミオは運命的な出逢いをしてしまった。その相手がジュリエットだ。
それからロミオに手紙を書いても返事はなし。ようやくロミオが来たと思ったら、自分の部屋のベランダではなく、別の家のベランダで聞いたことのある愛の詩をささやいている。その相手がのちにいとこのジュリエットだと判明するわけだが。
ジュリエットとの仲を引き裂くために画策するが、あれこれ手を尽くしていくたびに“ロミジュリ”でおなじみの展開が進行していく。ある出来事をきっかけに、今度はロザラインが2人を結びつけるために奔走する。見合い相手だったダリオとも、最初はいがみあっていたが、いつの間にか息の合った感じになっていた。
「ロミオとジュリエット」を知っていなくても十分に楽しめるが、少しでも知っていると、あのことがあれにつながっていたのか、と発見する面白さもあり、楽しさも倍増。切ない悲劇がこれだけのコメディーとして見せてくれるのかと驚く作品になっている。終盤のロミオとジュリエットの船上でのシーンまで、どっぷりとコメディーに浸かった作品は必見だ。
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