<舞いあがれ!>古本屋店主“八木”が味わい深い 本好き、又吉直樹に重なるキャラクター

2022/10/19 12:35 配信

ドラマ レビュー

古本屋「デラシネ」店主・八木(又吉直樹)が登場した「舞いあがれ!」第14回より (C)NHK

福原遥がヒロインを務める連続テレビ小説「舞いあがれ!」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)の第3週「がんばれ!お父ちゃん」から、古本屋「デラシネ」店主・八木巌役の又吉直樹が登場。舞(浅田芭路)や貴司(齋藤絢永)を導く“古本屋のおっちゃん”を好演している。(以下、ネタバレがあります)

舞と貴司に茶の間を提供


同作は、ドラマ「心の傷を癒すということ」(2020年、NHK総合)で阪神・淡路大震災後の“心の絆”をていねいに描き注目を集めた脚本家・桑原亮子氏によるオリジナル作品。1990年代から現代を舞台に、ヒロイン・舞がものづくりの町・東大阪と自然豊かな五島列島でさまざまな人との絆を育みながら夢に向かっていく姿を描く。

第12回(10月18日放送)で舞は、貴司に案内されて初めて「デラシネ」を訪れた。模型飛行機の作り方が載った本を探すためだ。「デラシネ」とはフランス語で“根なし草”の意味だという。

もともと本好きの貴司はこの「デラシネ」に、ほかの店では見つからないものもここにはきっとある、という信頼感を持っていたのかもしれない。「デラシネ」は、本好きにそう感じさせるような不思議な佇まいを持った店だ。

そして店主の八木が、その佇まいの発信源。客商売でありながら、本を乱暴に扱う客に「本が泣いてる」と怒り、「売らへん」と販売を拒むなど、だいぶ変わり者の様子。一方で、本を頼り、本に心を寄せる客には商いを越えた親しみも見せる。第13回(10月19日放送)では、詩集を読みふける貴司や模型飛行機づくりに取り組む舞に奥の茶の間を提供した。

2015年、芥川賞作家に


八木役の又吉は、お笑いコンビ・ピースとして活動するかたわら作家としても活躍。2015年に小説「火花」で芥川賞を受賞したほか、「劇場」「人間」といった作品を刊行し、エッセイなどの著書も多い。