ロバート・秋山竜次扮(ふん)する最先端のクリエイターに迫る「クリエイターズ・ファイル」。今回は、新種の微生物・ヤマトゴンズラが登場。2022年10月上旬に東京・代官山界隈で発見されたヤマトゴンズラ。その独特でお洒落な存在感に、クリエイターたちが魅了されていると話題だ。発見者の所属する研究所HBGK(ハブグック)を訪れた。
――新種の微生物が発見されたと伺いました。どんな特徴がありますか?
富山:今回の「ヤマトゴンズラ」の発見は、日本微生物学術的にも世界科学界的にもかなりの進歩につながるはずです。微生物にはミジンコ、イカダモ、ミカヅキモ、ミドリムシなどがいますが、ヤマトゴンズラはそれらよりはるかに小さいサイズの微生物です。長い爪のようなものと口から伸びたノズルや触覚などを持ち、微生物と深海魚をコラボレーションさせたようなルックスをしています。ぽっちゃりとした愛くるしいフォルムで、研究者たちを魅了しています。日本で新種の微生物が見つかること自体、本当に珍しいことなので、発見時には驚きを隠せませんでした。
――新種が発見されると、発見者の名前が付けられることが多いと聞きます。発見者の桑田さん、ヤマトゴンズラの名前の由来を教えてください。
桑田:名前は、私が名付けました。所長の権田に顔が似ていたので「ヤマトゴンズラ」としました。おなかがぽっこりしているところもそっくりです、器の小ささも(笑)。
富山:知らないよ、所長が見ちゃっても。
――どこで発見されたのですか?
桑田:休みの日に恵比寿から代官山へ向かう道を歩いている時に見つけました。何げなく側溝の泥水を研究所へ持ち帰ったんです。研究のために、ランダムにあちこちの水を持ち帰ることはよくあるんです。それでその泥水を顕微鏡で調べてみたところ、今まで見たことのないようなおしゃれで、独特な微生物がいました。代官山というエリアが関係しているのではないかと推測し、他の地域の調査もしましたが、代官山、中目黒、清澄白河以外には生息を確認できませんでした。
富山:推測を裏付けるのが、このヤマトゴンズラの栄養源です。通常の微生物の多くはタンパク質やプランクトンを摂取するのですが、ヤマトゴンズラはプランクトンなどではなく、水で解いたカヌレや中和させたエスプレッソ、プラセンタなどに非常によい反応をしたのです。他にもファッションブランドの展示会の招待状の粉末や、有名クリエイティブディレクターの衣服のほこり、日焼け短髪短パンクリエイターが乗るベンツ・ゲレンデのシートのほこりを溶かして与えてみると、同じようによい反応を示しました。
――今回は他にもいくつか新種の発見があったと伺いました。
富山:はい、実は同じタイミングでいくつかの新種を発見するというミラクルがありました。うちの所員の奥村が発見したオクムラ、戸渡が発見したトワタリ、私の友人のアラタが発見したアラタですね。これだけまとめて発見されることはかなり珍しいです。
――私たちもヤマトゴンズラやその他の微生物を見られる機会はあるのでしょうか。
富山:はい、微生物をアートとして見ていただくイベント「微生物こそアートディレクターだ!」を開催しています。このイベントには、私の友人のアラタも力を貸してくれています。これまでは私の研究に全く興味を示さなかったのですが、ヤマトゴンズラの生態、ルックスにクリエイター魂を刺激され、インスピレーションを与えてくれると言いだし、一緒にイベントを主催しています。
――先ほどからおっしゃっているアラタさんとは?
桑田:アラタさんはクリエイティブ集団「スクイーズ」のリーダーです。インポートショップをいくつか経営しながら、アートイベントのディレクターをしています。他にも、取り壊される寸前の映画館や水族館を買い取り、リノベーションをした後、コーヒーを出しています。最近は、古い小学校の体育倉庫を買い取って、コーヒーを出しています。
驚いたのですが、アラタさんの背中から多数のヤマトゴンズラが発見されたんです。この微生物は本当にクリエイティブな方を好むんだなあと立証されました。
――今後の展望は何かありますか。
富山:まだ先の話ですがヤマトゴンズラを培養して服用すれば、クリエイティブじゃない人が、クリエイターになれる薬ができるのではないかと考えています。いつか、クリエイターになれる錠剤ができることを夢見て…。
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